3部分:第一幕その三
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ある。白い服が実によく似合っている。
「声が?」
「彼女だ」
伯爵はその女を見上げて言った。
「彼女こそ私の女神、そして宝なんだ」
「そうだったのですか、やはり」
「うん。だが」
ここでフィガロに言う。
「あの頑固者の医者もいるんだろうな、やっぱり」
「その頑固者の医者が出て来ましたよ」
フィガロは上を見上げて伯爵に述べた。
「ほら」
「むっ」
見れば白い鬘を被った恰幅のいい男がバルコニーに現われた。白い髭を丁寧にワックスで固めやたらとキザでみらびやかな服とズボンである。貴族そのものといった感じの服装と容姿であった。品も知性も確かにあるがそれ以上にユーモラスが漂う男であった。
「彼ですよね」
「そう、彼だ」
伯爵は忌々しげにその男を見上げて答えた。
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