26部分:第二幕その十
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第二幕その十
「許さない、こうなったら」
「どうするつもりなのだね?」
「復讐です」
一言であった。
「それ以外にありません」
「そうか。では協力しよう」
「いえ」
だがその申し出は断るロジーナであった。
「私一人で。何しろ今夜ここに来ますので」
「むむっ、そこまで計画していたのか」
その用意周到さにバルトロも閉口する。
「ますますもって許せん」
「しかしそれは全て逆手に取られる宿命」
怒りに震える声で言い切る。
「この私によって。ですから」
「では任せてよいな」
「是非共」
やはりきっぱりとして言い切る。
「ここは私により」
そう言い残し自分の部屋に戻る。バルトロは自分のすることがなくなってどうにもこうにも手持ちぶたさになったがとりあえず上手くいきそうだとわかり安心して部屋に戻ったのであった。
その夜。伯爵とフィガロは嵐の中を進むのだった。二人の外套は完全に濡れそぼっている。もうそれだけで大変だがそれでも進む。フィガロの手にはランタンがある。
「もうすぐだね」
「ええ、そうですね」
フィガロは自分の後ろにいる伯爵にそう言葉を返す。
「いよいよですよ」
「もうすぐあの人に」
そう思うだけで心が昂ぶる。
「さあもうすぐだ」
「ほら、着きました」
ロジーナの家のバルコニーのすぐ下に来た。
「ここですよ。では」
「灯りが頼りにならないのが残念だね」
「仕方ないですよ、雨ですから」
そう言葉を返す。話をしながらフィガロはバルコニーにロープをかけてそのまま上にあがる。そうして伯爵も上がり二人はバルコニーのところにまで来たのであった。
「けれどまあ。ロジーナさんは御存知ですし」
「そうだな。それじゃあ」
「ほら、御覧下さい」
バルコニーが開いた。ロジーナが姿を現わす。
「ロジーナさんが」
「おお、ロジーナ」
「帰って」
ロジーナは怒った声でそう言うのだった。
「不埒な人よ、もう二度と」
「不埒!?私がかい」
伯爵は話がわからず目を丸くさせる。
「それはまたどうして」
「誤魔化すというの?」
さらに言葉の怒気を強くさせてきた。
「そうやって私を騙すのね、この悪党」
「これは一体どうしたことなんだ?」
「さて」
フィガロにもわからない。伯爵の言葉に首を横に振る。
「何が何なのか」
「貴方は私の恋人を装ってアルマヴィーヴァ伯爵に私を売るつもりなのですね」
「アルマヴィーヴァ伯爵に!?私が!?」
「話は聞きました。もう騙されません」
「馬鹿な、そんなことは有り得ない」
伯爵は今のロジーナの言葉に笑って返した。
「それだけはね」
「まだ白を切るのね」
「いや、切る必要もないことだね」
伯爵はそれも否定する。
「全
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