暁 〜小説投稿サイト〜
セビーリアの理髪師
24部分:第二幕その八
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バルトロとバジリオが戻って来たのであった。
「もういいぞ」
「それじゃあ」
「これで」
 ベルタ達は引っ込む。そうしてバルトロはバジリオとテーブルに向かい合って座り何があったのかを事細かに説明するのであった。
「では知らないのか」
「全く何も」
 バルトロはバジリオに答える。
「今はじめて聞きました」
「ドン=アロンソ。では一体誰なのか」
「それは私が聞きたいです」
 バジリオは困惑した顔で言葉を返すのだった。
「全く以って」
「ううむ」
「それにですね」
 バジリオは言葉を続ける。
「私はそのドン=アロンソなる人物の素性を警戒しております」
「わしもだ」
 二人は深刻な顔で言葉を交える。
「誰なのか」
「あのリンドーロではないですか?いや」
 ここでバジリオの推理が動いた。眉を顰めさせたところから知恵が出て来た。
「彼こそ。伯爵なのかも」
「アルマヴィーヴァ伯爵か」
「そうです。そうであれば大変なことです」
「そうだな」
 そう話している外で雨音が聞こえてきた。それもかなりの音である。

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