第二十四話 新たな敵
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意見は出ていたのだろう。だが公がそれを受け入れなかった。我々から何らかの回答、ヒントが出るのではないかと期待したという事か……。また役立たずと思われたと言う事か、溜息が出そうだ……。
フェルナー長官が機器を操作すると会議室のスクリーンに黒姫が映った、どうやら艦に乗っているらしい。
「やあ、エーリッヒ」
『ああ、アントンか、久しぶりだね。おやおや、皆勢揃いか。元帥閣下、お元気そうで何よりです。久しぶりですね、皆さん』
黒姫がにこやかに声をかけてきた。公の表情が益々渋いものになる。
「卿のおかげで殺されずに済んだ、礼を言う」
『お役に立てた様ですね、御報せした甲斐が有りました。今後もこのような事が有ると思います、お気を付けてください』
「そうしよう」
話が進むにつれ黒姫のにこやかな表情とは対照的にローエングラム公の表情が渋くなる。良くない傾向だと見たのだろう、フェルナー長官が話し始めた。
「エーリッヒ、俺からも礼を言う。卿のおかげでローエングラム公を守る事が出来た」
フェルナー長官の言葉に黒姫が頷いた。
『随分と被害が出たようだ、リスナーから聞いている』
「ああ、予想外の被害だった」
『ウチの人間が忠告したはずだけどな、本気にはしなかったか……』
黒姫の口調がぞんざいになっている。友人として気安いのだろう、或いは呆れているのか……。フェルナー長官の顔が歪んだ、ローエングラム公の顔も歪んでいる。少なくとも二人は呆れられたと受け取っただろう
「そういうわけではないが……、言いわけだな、卿の言う通りだ、何処かで高を括ったと思う」
フェルナー長官が首を振った。苦い口調だ、黒姫からは地球教はかなり危険だと報せが有ったのだろう。軽視したわけではないだろうが結果としてはそうなった。
『これからは気を付ける事だ、あの連中は宇宙征服を企む悪の秘密結社なんだから』
何処か浮かれた様な冗談めいた口調なのは友人を気遣っての事だろう。だがフェルナー長官の表情が益々歪んだ。
「やはり知っていたのか、彼らの陰謀を……」
『……知っていた、いや想定していたと言うべきかな』
周囲から溜息が聞こえた。ローエングラム公も溜息を吐いている。
「どうして教えてくれなかった」
黒姫がほんの少し答えるのを躊躇った。
『……言ったら信じたか?』
「……いや、事が事だ。難しいだろうな……」
『だから言わないんだ。気が狂ったと思われるのがオチだからな。卿らは地球教が危険だという事も軽視した……』
「……俺を試したんだな、ヒントを出して正解に辿り着けるか試した、何処まで自分の言う事を信じるか試した……」
苦い口調だ、お互いに視線を合わせたまま沈黙している。誰も口を開こうとしない、重苦しい沈黙が会議室に落ちた。
黒姫が一
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