第一物語・後半-日来独立編-
第二十二章 変化の始まり《2》
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『なるほど、それならいいかな』
『と、割り切ったところでそう考えているのは榊学長だけですので。いざというときは責任を取って下さいね。――では説明を開始します』
『ハメられた!?』
物に当たったように後ろに榊はよろけた。
中年の男性を言葉巧みに操る女性は、榊と同じ暗い空間で説明を開始した。
『先程申しましたように、私はこれから日来を統括させて頂きます“日来”と申します。前に行われた会議の結果、と言うよりもはなっから仕組まれた結果、日来は独立のために動くので始動致しました』
「始動? 機械なのかあれは」
上を向く飛豊の声に日来は頷く。
近くに居た仲間達は首を傾げるだけで、何も知らないと示す。
それを映画面越しに見て、同時に聴覚で艦の加速機の音を聴く。
効果無し、と判断し空でおとなしくしている黄森の艦を確認。視線をそれに向けながら口を動かす。
『はい、私、機械です。詳しく申しますと機械人形で、並の人よりかは強いと判断しています』
自身の強さを表すように、腕を曲げて力瘤を見せ付ける。細目の腕に力は入れているが、あいにく立派な力瘤は出なかった。受けが良くないと判断して、日来は力を入れた腕を下ろす。
一拍置いて、
『これより日来は独立活動の一貫として宇天学勢院覇王会長の解放阻止のため、日来の試運転を含む航行を開始したいと思います』
『……航行だと?』
映画面から漏れる黄森の隊隊長の声。いざという非常時の為に、他の艦にも連絡を飛ばすようにと仲間に合図する。
あることが頭に過るが、まさかと思いなぎ払う。
詳しいことは分からない。だから今はただ黙って聴くだけだった。
『これより五分後、まずは日来の試運転を開始。準備が完了次第、奥州四圏の東側に存在する辰ノ大花へと出向致します。皆様にはこれから行ってもらうことを映画面に映しますので、各自映画面を表示し、記入された指事に従って下さい』
では、
『これから五分間、日来の領域内に存在する黄森からの防衛、駆逐をお願い致します』
一礼し、日来が映る映画面と手を振る榊が映る映画面が消えた。
これから五分間という、短くも長い戦いが始まる。
●
これに対し、即座に動いたのは幾多の実戦を積んだ黄森の隊員だ。
会議場の上空近くで航行しているドラゴン級戦闘艦からは、緊急事態を伝える警報が鳴り響く。
「他の艦への報告終わりました。本部への報告は……」
「まだだ、そう簡単に若者に荷を背負わせるわけにはいかん。先程の言ったことが本当ならば、この日来の地を空に浮かすということだが」
「そんなまさか。約十キロもある日来の地を空に浮かすと言うのですか。もし日来が武装をしていたならば、この世に二艦しかないラグナロク級戦闘艦の新たな艦となりますが」
艦の操作室には
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