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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第二十二章 変化の始まり《2》
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しました。無能な人はそれだけで困りますね。――では、行かせてもらいます』
『ひどっ!』
 謎の女性と榊の声の後、ドラゴン級戦闘艦の主砲が龍の咆哮の如く吠えた。
 目をつぶりそうな眩い光を放ち、高出力での光線状の流魔砲が直撃ギリギリの距離を通ろうとする。狙いは西二番貿易区域と、西二番商業区域の間に通る大道だ。
 慌てた様子でネフィアは防犯用の映画面を表示した。幸いこれをやることを想定してか、大道には人は存在しなかった。
 ほっと落ち着くも、今さらされている状況に意識が戻る。
 真上を通る砲撃に視線を戻し、青に輝くそれは真っ直ぐに大気を断つ。斜め一直線に進み、地を削るかのように速度が落ちぬまま突き進んだ。
 だが、地にぶつかる前にドラゴン級戦闘艦の砲撃は再び防がれた。
 先程の副砲を防いだ防御系加護ではない。斜め真っ直ぐ、地面に激突するのを防ぐように一枚の防御壁により防がれた。
 大道よりも大きく、紙のように薄い一枚の防御壁に。
『着弾確認。防御成功と判断出来ます』
「ナイスだな」
『ナイスだと判断出来ます。やりましたね私』
 セーランが親指を立てそれに応じるように、映画面に映る女性は親指を立てた。
 役目を果たし、展開した防御壁は消滅した。
 後には指を立てたセーランはふと何を思ったのか、謎の女性が映る映画面から視線を空へと向ける。
 しばし黙って、
「あの人、誰?」
 宙に表示されている女性が映る映画面を指差した。
 何言ってるの、と言うように周囲が静まり返る。
 映画面に映る女性は半目になり、何の意味が隠ったのかため息を吐いた。
『申し遅れました。私、この日来を統括させて頂きます“日来”と申します。以後、お見知り置きを』
 一礼し、釣られるように日来住民達も頭を下げる。
 宙に浮かぶドラゴン級戦闘艦が再び砲撃を放つも、同じく防御壁に防がれそれで終わりだ。
 動揺を隠せないのか、何処と無く艦の操縦が荒い。だがそれはこの場にいる者も、ここにいない者も同じだ。
 日来を統括する者。こんな存在は今まで知り得なかったのだ。
 これに反応したのは砲撃を放った戦闘艦だ。
 艦手前、映画面を表示し、
『日来を統括する者だと? そんな存在聞いたことがないぞ。どう言うことだ』
『それにお答えするには私個人の判断だけでは不可能と判断出来ます』
『え、何その視線。俺の判断に任せるみたいな、責任取るの嫌だよ、面倒だから』
 無視し、
『榊学長の判断により――』
『ちょちょちょ、待って待って。おかしくない? 俺まだ何も言ってないよ』
『何を言っておられるのですか、学長であろうとも教員には変わりありません。ならば、学勢院と社交院との争い事だと割り切ってしまえば教員である榊学長は責任を取る必要はないと判断出来ますが?』

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