第四話 空気砲弾(ショットガン)
[2/21]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
在しない女性からの着信を待ち続けて、学校を休んだ。
筋金どころか鉄筋が入っている。
だが、そんな明らかにマニア向けのCDなど存在しない。一から作ってやるのも馬鹿馬鹿しい。
そもそも、鷹見が勝つなどあり得ない。
奴が勝てる確率は、高くても、一%しかないのだから。
……
…………
………………
(フフ……、馬鹿め!)
鷹見は心の中で呟いた。
できることなら腹を抱えて笑い転げてやりたいと思っている。
(自分から負けに来るとはな。灯影月日、愚かな男よ!)
鷹見は月日という男を熟知している。
彼は知っている。月日のテストに対する傾向を。それは裏付けられている。
だから、自分は一点高いだけでいい。
(さあ、戦いの鐘よ鳴れ! そして、勝利の福音を鳴り響かせろッ!!)
こうして、二人のちっぽけな戦いの始まりを告げる鐘(チャイム)が校内に響いた。
…………
………………
……………………
…………………………
――キ〜ン、コ〜ン、カ〜ン、コ〜ン
時は過ぎに過ぎ、放課後。
それを合図に生徒達のほとんどは帰宅し、教室に残る人間は少ない。
だがそんな一角で、どんより沈んだ雰囲気が立ち込めている。
(何故だ? 何故こうなった!?)
自問ばかりで自答ができない。
どこで間違えたのか…。
どこの選択肢がいけなかったのか…。
最後にセーブしたのどこだっけ?
彼の頭の中では、それらが無限ループしている。
だが、いくら悩んだところで事実は変わらない。
(何故だ? 何で―――)
「何でお前は……!」
バンッ! と机に叩き、突然立ち上がる。
そして、すぐ側に立っている友にこう言った。
「何でそんなに平均点が高いんですか月日さーんッ!!」
「黙れよ。うっかり引き金引いちゃうだろ?(笑)」
―――ガチャッ!!
額に当てられる銃口。なんだろうな、デジャヴ? 今朝も同じ事をしたような気がしてならない。
でも当てられている本人は気にしていない。というより、それどころではないようだ。
「だって……だってよ、おかしいじゃんか……!?」
俯く鷹見。その握り締めた拳は、震えている。
「鷹見…」
それが悔しさからなのか、または憤りからなのか、月日にも解らない。
「だって、そうだろ?」
意を決したように鷹見は月日の顔を見る。むしろ、睨み付ける。
そして、
「お前ェ! 今回のテスト、平均点六〇にするって、“言ってた”じゃねーか!!!」
怒鳴りつけるように吐き捨てる鷹見。
「はぁ……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ