第四話 空気砲弾(ショットガン)
[1/21]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「「…はぁ」」
二つの溜め息が重なる。
一つは机に突っ伏す鷹見のもの。もう一つは壁に背中を預ける月日のもの。
鷹見は酷く疲れており、動く気力もない様子。
一方の月日は、
「晩飯、何にするかな…」
「お前の悩みはそこか……」
ツッコミにキレがない。本当に疲れているようだ。
無理もない。この男、天才うさみみ博士を探すためホームルームをサボって校内を駆けずり回っていた。更に担任の説教を一時限中受けるハメになった。
お陰で一時限目は自習である。
「お姉様、嗚呼お姉様。お姉様……」
「いい加減にしろよ。いないんだよ。あの人、『超電磁砲(ここ)』じゃ眉毛の中の人やってるんだから」
「ユメもキボーもない事言うなよ!……あぁ、あの世界に行きたい。そして、生きたい」
「無理だな。Mr.唐変木がいる限りお前に明日はない」
おそらくいてもいなくても勝ち目なんて皆無。
月日は鷹見という男を熟知している。
だから、この世界以外ではモブキャラで終わるのが関の山だ。そもそも、変態の需要はかなり薄い。鷹見が生きていくには過酷な環境だろう。
「諦めろ。真夏の蜃気楼だったとな」
「だってよぉ……」
「それよりもお前は、もっと別の事を心配しろ」
「は?」とマヌケ面でこちらを見てくる鷹見。その顔に無性に鉛弾をブチ込んでやりたくなったが、とりあえず我慢する。
月日曰く、ホームルームで期末テストが各時限に返却されると担任が通達していった。
この結果で、夏休みを楽しめるか補習で喰い潰されるかが決まる。
「フフ……」
何故か不敵に笑う鷹見。本当に壊れたか、と月日が心配する程に。
「自信あり気だな?」
「あぁ、猛勉強したからな…。平均六〇点以上は、いったな……!」
と言っても月日の家に押し掛け、勉強会紛いな事をしていたに過ぎない。
できない者同士の傷の舐め合い程度でこの自信、一体どこから湧いてくるのだろうと不思議でしょうがない。
「あんまり期待しすぎると、ショックがデカくて廃人みたくなっちまうぞ」
「フフ……、大丈夫だ。賭けてもいい」
「じゃあ、俺が平均点で勝ったら、お前の赤点一つにつき、二千円没収な?」
「いいぜ」と鷹見は余裕を崩さない。「我の見返りは何だ?」
「そうだな、『おはようからおやすみまでお姉さんとの優雅な一日 〜頭と耳が幸せ編〜』と言うCDでどうだ?」
「のったぁぁぁぁッ!!」
たった一言で鷹見は復活した。どこまで単純で姉属性LOVE思考なのだろうと月日は小さく溜め息を吐いた。
昔、冗談で公衆電話から鷹見のケータイに変声してかけた事があった。その後一週間、彼は存
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ