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Muv-Luv Alternative~一人のリンクス~
帝国陸軍-唯依Side-
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、何か暖かい物に覆われた。

「あっ…」

 え?と一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、視界を上に上げると視界に移るシルバ少佐の顔。そう、私は今シルバ少佐に抱きしめられていた。最初は直ぐに抜けよと思ったけど…不思議とシルバ少佐の腕の中は暖かくて、心地の良いもので、このままで良いと思ってしまった。そんな時に不意に掛けられたシルバ少佐の言葉。

「俺は唯依中尉がやってきた事は決して無駄な事ではないと思う」

「え…」

 突然何を…と思ったけど、私は何も言わずシルバ少佐の言葉を待った。


「考えてもみろ。唯依中尉は今までの数ヶ月無駄だった、と言ったが、その数ヶ月がなければ俺は此処にはいなかったんだぞ?違うか?つまり唯依中尉の数ヶ月の努力が今こうして、この結果を生んだんだ。逸れは誇って良い事だと俺は思う。唯依中尉がやってきた事は決して無駄な事なんかじゃない。俺が保障する」

 シルバ少佐の言ってくれた言葉の一つ一つが私の心の中に入ってくる。今まで閉ざしていた心の中に。


「わ、私は…私がやってきた事は…」

 恐る恐る、その疑問を口に出した。

 今まで誰にも聞けなかったその言葉。怖くて聞けなかった…私の過去。

「ああ。決して無駄ではない。唯依中尉の努力は今こうして結果を残した。唯依中尉の苦労をしらない俺が言うのもなんだが…今まで大変だったな。そして有難う、今までXFJ計画を引っ張ってきてくれて」

 そしてシルバ少佐から返って来た私が今までで一番聞きたかった言葉。

 その言葉を聞いた瞬間、今まで私の中に溜まっていたものの全てが…流れた。

――――――――――

 あの後、暫くして泣き止んだ私はシルバ少佐からハンカチを渡され、それで涙を拭いた。

 回されていた腕が解かれた時は何故か胸が締め付けられた。もう少しあの暖かさを感じていたかったのかもしれない…。それにしてもシルバ少佐と恥ずかしくて目を合わせる事が出来ない。まさかこんなにも初対面の人間に打ち解けるとは自分でも思っていなかった。

 そうさせるだけのシルバ少佐の雰囲気があったのか、それとも私が既に限界だったのか…今となっては分からないけど、どちらにせよ、私の心は満たされていた。

 それと同時に横浜基地に行くことになったあかつきには、この人の下で働きたいと強く思った。それをシルバ少佐に言いたいけれど、恥ずかしくてそんな事言える訳がない。ただでさえ迷惑を掛けたのに、これ以上彼に迷惑を掛けることは…。そう思う自分と、彼の元で働きたい、と思う自分が激しい喝采を繰り広げる。

 …おじ様に頼めばどうにかしてくれないかな。

 そんな事を思いながらも、シミュレーターの方に向かうシルバ少佐の後を付いていく。ちゃっかり
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