第一部
阿修羅との戦い U
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あろうかという、巨大な槍であった。阿修羅が持つのに相応しく、豪奢な意匠が施されたそれは、間違いなく神代の武器である。重金属で出来ていると思われるそれは、総重量がどの位になるのか想像も付かない。
それを、途轍もない速度で投げ返された阿修羅たちの驚きは凄まじいものであった。何せ、飛んでくるのはその一本だけではない。機械の腕を最大稼働させて、地面に散らばっている様々な武器を投げ返されているのだ。アシュラがやっていた事を、ソックリそのままやり返された。
ヴァルナの傷はまだ治りきっておらず、ラーフは太陽を隠す権能を行使しているため動けない。アシュラとヴァルナが必死に打ち落とすも、沙穂の攻撃は衰えるどころか、益々苛烈さを増していった。
「どんな権能を持っているのだ!?何故、人間の癖に腕が増える!?」
戦いは、阿修羅たちが押されていた。それは何故かと言えば、簡単な話だ。そもそも、『アシュラ』が創り出した武具たちは、ちょっとやそっとの事では破壊されない。そして、沙穂が投げたその武具を打ち落とす為に、また新たに武具を作り出して投擲している。お互いの威力を相殺し合った武具は、重力に従ってまた地面に落ちる。それを沙穂が拾いまた投げる。その繰り返しである。そして、沙穂は四本の腕をフルに使って武器を投擲している。怪我を負ったヴァルナと、本来は三面六臂であるのだが、神格を三つに分けたが故に二本の腕しか使用できないアシュラでは、手が追いつかなくなるのは当然であった。
「機械の腕が生えてくる権能なんて・・・聞いた事がない・・・。」
「アハハ!当然だよ権能じゃないもん。」
沙穂の、カンピオーネとしても異常、規格外の戦いぶりを見て呆然と呟いたアリスに、軽く笑いかける鈴蘭。
「権能じゃ・・・ない?」
「そうだよ。沙穂ちゃんは、機械人間のカンピオーネだからね。」
「機械人間・・・!?」
驚くアリス。それも当然である。それが事実なら、彼女は、機械と神秘が融合した、初めての事例となるのだから。
「・・・あの戦いの前に、彼女は一度死んでいるんだよ。それを、ドクターが生き返らせたの。」
「・・・・・・っ!」
死者蘇生。遥かな昔から人類究極の夢とされてきたその奇跡を、既に完成させていると鈴蘭は言ったのだ。驚かない訳がない。
「その代わり、彼女の体は機械になっちゃったけど・・・ね。」
ホンの少し。それはアリスの見間違いだったのかもしれないが、ホンの少しだけ、鈴蘭の顔に陰りが生まれたような気がした。
「カンピオーネに新生した時に、機械とカンピオーネの新生術式がうまい具合に融合しちゃったみたいでね。彼女は、純粋な身体能力と身体性能において、全てのカンピオーネの頂点に立
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