暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
災禍を振り撒く者
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【Brain Burst Program】

文字化けと点滅でよく読めないが、とてもその文字に心が吸い寄せられるような感じがする。

それは、とても不思議な体験だった。

身体と精神が分離した、とでも言えばいいのだろうか。心では、全く戦闘のことなど考えていないのに、体はその後も変わらずPoHとの激戦をし続けている。

視界はその間も赤く染まり続け、どんどん広くなっていくような気がした。

その二人の《鬼》が喰い合う広い空間全てが、手に取るように解かる。

ずきり……、と頭に鈍痛が走る。

今では、レンは激突する《鬼》達を見下ろすように見ていた。

喰い合う《鬼》と《獣》を。

いつまでも見ていた。










いまだ晴れない土埃の中、レンは一人溜め息をついた。

「あ〜あ、逃げられちゃったかぁ〜」

だだっ広いこの広間に、もうPoHはいない。レン一人だけだ。足元には、空中に残滓を引いて消えていく途上にある真っ黒い塊が一つ。

《災禍の鎧》の抜け殻であり。

《災禍の鎧》の残り香であり。

《災禍の鎧》の残骸であった。

たまにもぞもぞ動くことが精一杯のようで、もう脅威も感じなければ興味も湧かない。

ただ風景の一部として捉えるだけだ。

それよりレンの視線が向けられるのはただ一点。PoHが転移結晶を使用し、この空間からいなくなった地点だ。

転移する寸前、PoHは言った。

勘違いするなよ、boy。これで終わった訳じゃねぇ。まだ、何も終わってない。

It’s show time

その声は、いやその台詞は、なぜか《鎧》の初代所有者が死ぬ時に放った台詞と全く似ていないのに、全く同じだと感じた。

そしてPoHは言いたいことだけ言って、青い光にその身体を任せて消えていった。

「…………なんだよ、それ。おじさん」

口から自然と洩れた言葉。意味なんか最初から無い。

だが、その言葉に対する返答は唐突にもたらされた。

「ほぉーんと、そうだよねぇ」

びくりと肩を震わせてレンは後ろを振り返る。

いつの間にか、レンの後ろには数十人規模のプレイヤーが立っていた。背も体型もバラバラなそのプレイヤー達に共通するものは二つ。

全員が全員、毒々しいケープを羽織っていることと、その表情が驚くほど無表情なことだ。

その不気味な集団の中央、一人の人物が立ち、こちらを見据えていた。

その人物は、ケープで統一されているその集団の中で唯一同色のスーツを着ていた。だが、そいつの様相で特筆するのはそこではない。

その顔。

男性とも、女性とも取れる整った輪郭の顔は、残念ながら全く拝見することはできない。その理由は──
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