暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
災禍を振り撒く者
[4/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
【Brain Burst Program】
文字化けと点滅でよく読めないが、とてもその文字に心が吸い寄せられるような感じがする。
それは、とても不思議な体験だった。
身体と精神が分離した、とでも言えばいいのだろうか。心では、全く戦闘のことなど考えていないのに、体はその後も変わらずPoHとの激戦をし続けている。
視界はその間も赤く染まり続け、どんどん広くなっていくような気がした。
その二人の《鬼》が喰い合う広い空間全てが、手に取るように解かる。
ずきり……、と頭に鈍痛が走る。
今では、レンは激突する《鬼》達を見下ろすように見ていた。
喰い合う《鬼》と《獣》を。
いつまでも見ていた。
いまだ晴れない土埃の中、レンは一人溜め息をついた。
「あ〜あ、逃げられちゃったかぁ〜」
だだっ広いこの広間に、もうPoHはいない。レン一人だけだ。足元には、空中に残滓を引いて消えていく途上にある真っ黒い塊が一つ。
《災禍の鎧》の抜け殻であり。
《災禍の鎧》の残り香であり。
《災禍の鎧》の残骸であった。
たまにもぞもぞ動くことが精一杯のようで、もう脅威も感じなければ興味も湧かない。
ただ風景の一部として捉えるだけだ。
それよりレンの視線が向けられるのはただ一点。PoHが転移結晶を使用し、この空間からいなくなった地点だ。
転移する寸前、PoHは言った。
勘違いするなよ、boy。これで終わった訳じゃねぇ。まだ、何も終わってない。
It’s show time
その声は、いやその台詞は、なぜか《鎧》の初代所有者が死ぬ時に放った台詞と全く似ていないのに、全く同じだと感じた。
そしてPoHは言いたいことだけ言って、青い光にその身体を任せて消えていった。
「…………なんだよ、それ。おじさん」
口から自然と洩れた言葉。意味なんか最初から無い。
だが、その言葉に対する返答は唐突にもたらされた。
「ほぉーんと、そうだよねぇ」
びくりと肩を震わせてレンは後ろを振り返る。
いつの間にか、レンの後ろには数十人規模のプレイヤーが立っていた。背も体型もバラバラなそのプレイヤー達に共通するものは二つ。
全員が全員、毒々しいケープを羽織っていることと、その表情が驚くほど無表情なことだ。
その不気味な集団の中央、一人の人物が立ち、こちらを見据えていた。
その人物は、ケープで統一されているその集団の中で唯一同色のスーツを着ていた。だが、そいつの様相で特筆するのはそこではない。
その顔。
男性とも、女性とも取れる整った輪郭の顔は、残念ながら全く拝見することはできない。その理由は──
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ