第二十六話
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揮するなど不可能であり、一から教育をする必要があったのだが、連盟上層部からの度重なる計画の前倒しの指示を受けて、エルシャンが椅子の上で足をバタバタさせて暴れた挙句に「良いよ良いよやっちゃうよ。でも知らんからね。何か問題が起きても知らんからね」と言ったのは、プレイヤーにプレイヤーを指揮させるというこの暴挙の事だった。
「でも待遇は悪くない。いやむしろ怖いくらいに良いと思う」
尾津は長い脚をベッドの上で組み、スカートの裾から除く白い太ももを見せ付けるように脚を組みかえる。
ギリギリまで見えそうで見えない計算された脚捌きだった。
「うっ」
身体の一部に血潮が流れ込もうとするのを、芝山は弱き意思を総動員して塞き止める。ここで立たせる訳にはいかないのだった。
そんな彼に、尾津は鉢の中の金魚を覗き込む猫の様な視線を向けると、口角をキュッと上げて微笑む。
そんな尾津に負けじと梅木は、薄手のサマーカーディガンを脱いでキャミソール姿になると、日本人離れした──血筋的にはほとんど日本人じゃないが──メリハリの利いた体型においても特に主張の強いバストを、胸を張ることで更に強調した。
「それで柴田はどうするつもり?」
「……ど、どうしよう?」
そう答えるも、どうするつもりも何も、梅木の胸を視界から外さない事には芝山には論理的思考など出来るはずも無い。精々『く、悔しい。梅ちゃんに女を感じてしまうなんて』と負け惜しみする程度が限界だった。
どうだと言わんばかりに梅木は尾津に視線を投げかけるが、尾津は内心の焦りを抑えて鼻先で笑って見せる。女の静かな戦いが幕を開けた。
一方山田は、そんな2人の色気攻勢に陥落寸前の芝山の姿に危機感を覚え今の自分に何が出来るかを考える。しかしこれといって有効な対抗手段が見つからない。
冷静に戦力を比較しても明らかに2人に対抗するには幼児体型の自分身体では戦力不足も甚だしい。だがここで諦める気など無かった。『落ち着け、落ち着くんだ成海。戦力が不足しているなら搦め手を使えば良いじゃないか?』そう自分に言い聞かせる。正面から色気で戦う必要は無い。ならば幼く見える短所を長所に変えて戦うのみ。
「わ、私はお兄ちゃんが参加するなら。一緒に参加したい」
「お、おにいちゃん!?!?!?」
言われた芝山も、傍で聞いていた尾津と梅木も驚きの声を上げて固まる。
「うん、お兄ちゃんって呼んじゃ駄目?」
可愛らしく上目遣い。しかも瞳が潤んでいた。『これで駄目と答えられる男がいるだろうか……いやいない』僅か0.5秒で自問自答に片がついた。
「……良いよ」
「早っ!」
伏兵の奇襲に敢え無く陥落状態に陥った芝山に、突っ込みを入れるが彼からの返事は無い。
「良かったおにいちゃん」
笑顔で応える山田に、芝山はうん
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