第二章「クルセイド編」
第二十五話「実証」
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ければ人間は一瞬で物言わぬ肉塊に変わってしまう。とは言え非殺傷設定はキチンと働いていた。あたりには血の海は広がっておらず『デモンズランス』の直撃を受けてミンチになってしまった人間は居ないようだが……
「(そりゃ常識的に考えればわかるだろ。術自体には作用できても二次災害まではどうしようもないって)」
「(そうか。人間飛び散る瓦礫を頭に受けるだけで死ぬ生き物だと言うのにな。
それを考えると非殺傷設定と言うのも随分と欠陥品だ)」
「(……お前の火力がデタラメすぎるだけだろ)」
死人こそ居なかったが何人かは腕を変な方向に捻じ曲げていた。疑いようも無く折れている。肩が砕け、それでも気絶できず激痛に悶えている者も居た。リオンは沸点こそ低いがそれでも他人を自ら進んで痛みつける悪趣味は無い。次から気をつけようと内心で言い聞かせ食料庫へ向かった。
ちなみにシャルティエは
(アレでデタラメな火力って言うんだったらディムロスとかクレメンテの晶術を見たらなんて思うんだろ……)
なんてことをぼんやりと考えていた。
ともあれ今の一撃で管理局員の戦意は根こそぎ刈り取れたらしい。リオンを見ると蜘蛛の子を散らすように逃げていった。彼らには目も呉れずリオンは鋼鉄の大きなドアへ向かって歩いていく。輸送船の生命線とも言える貨物を守るだけあってそこそこに頑丈な扉だったがかつて時の庭園でリオンが破った巨大な扉に比べればスポンジも同然。リオンがシャルティエをを無造作に一閃させるだけでズズ……と言う音をたて数秒もしないうちに人が通れる穴が開く。
「(おーい……ああ。折角鍵用意したのに)」
となにやら残念そうな声が念話で響いたがリオンは無視して中に踏み込んでいった。中は広く、そして寒い。冷凍庫にもなっているようで近くにあったモニターには−20℃と無機質に表示されていた。流石にその極寒の中で長時間の作業は厳しい。そう考えたリオンはエレギオの指示も受けてリモコンを探す。エレギオ曰くこう言った船の温度調整にも魔法は浸透しているとの事で、直ぐに−20℃の−の部分だけが消え去り過ごしやすい気温へと変化する。
「(んじゃ『シール』を張ってくれ)」
「(言われずともわかっている)」
リオンは言われたとおりに貨物へ次々とシールを貼っていった。デフォルメされたアフロの少年ががVサインをしてイラッと来る様な笑顔を浮かべたそのシールはふざけた見た目とは裏腹に転移魔法が篭められていて貼られた対象を記憶した位置に転移させてしまえると言うえげつない効果を持っているらしい。現にリオンがシールを貼った貨物は次々と残滓も残さずどこかへ消えてしまう。エレギオの話通りだとすると『オリアナ』のそとで待機しているドラギオンに連結されている巨大なボックスの
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