第二章「クルセイド編」
第二十五話「実証」
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
氏に多大な拍手を。
−−−−−−−−
「それで結局『お仕事』って言うのは何なんだ」
エレギオはコーヒーを一口飲んで、さも意外そうな顔でリオンを見た。
「なにってお前。俺の職業忘れたか?」
「は?」
職業。リオンは思わず首を傾げる。目の前の少年にそれは余りにも似合わない言葉だった。何せエレギオ・ツァーライトは犯罪者なのだ。それも超一級の次元犯罪者。職業になどとても就ける筈は無い。
だがそう目の前の少年の職業について思いを馳せた時、一つピンと閃く物がリオンの中にあった。
それに思い当たったと同時にリオンの表情はみるみる歪んでいく。それはそうだろう。誰だって犯罪者に進んでなりたいとは思わない。どこぞの田舎者よろしく強欲女に騙された訳でもなし。
「略奪か。そうなんだな?」
「あったり!」
親指を立てて満面の笑みを浮かべるエレギオ。対照的にリオンのテンションはどんどん下がって行った。エレギオの職業……いや『盗賊』を職業と呼んでは真面目に汗を流して仕事に励んでいる世間一般の大人の皆様には申し訳無いので肩書きと呼ぶべきか。エレギオの罪状には様々な悪事が並んでいるが基本的にはその殆どを略奪と言う言葉で纏める事ができるのだ。エレギオは殺人は好まない。だが人から命とそれに並ぶ大切な物以外の物を奪うことには躊躇しない。エレギオ曰く「基本的に金は命には並ばない。並ぶと思っている奴は狂ってるから関係ない」と余りにも勝手な理屈、いや最早暴論とでも言うべき論理でエレギオは日々略奪に励んでいるとの事である。少なくともリオンはエドワードからそう聞いていた。
そんなエレギオとは対照的にリオンは王国客員剣士として犯罪を犯す側ではなく犯罪者を取り締まる側だった。勿論リオンとて法律が絶対などと言うことを信じている訳ではない。法律の穴を掻い潜った卑怯者、或いはリオンの父でありオベロン社と言う世界的大企業の総帥ヒューゴのような法律と言う網を内側から食い破る圧倒的な力を持った悪党をどうする事もできない矮小な存在だと言う事をリオンは知っている。
だが法律は決して悪ではない。
法律は、言ってしまえば○○はやってはいけない。××はやってもいい。そんな事を教えるわかり易い基準であり教科書であり、そしてその文頭に「取り敢えず」と言うフレーズが着くが間違いなく正義なのである。確かに悪法は存在するし時に法が人の道を誤らせる事も有る。だがそんな法律とて略奪等と言う誰の眼から見ても悪事とわかる行為を認めはしないだろう。略奪行為は決して正義などではない。そしてそんな行為を進んでしたいと思うほどリオンの騎士道精神は落ちぶれてはいなかった。
不満か、とエレギオが聞く。リオンにとっては答えるまでも無い事だ。
「だが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ