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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十五話「実証」
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わした少年は先に自分が気絶させた男から奪った銃をブーメランの様に彼らの鼻めがけて投げつける。男たちの目が一瞬投げられた銃にむけられた瞬間。一秒にも満たないその隙の中少年はジグザグの軌跡を描いて再び男たちに肉迫し、いっそ惚れ惚れするほど見事なサマーソルトキックが一閃。もんどうりうって吹き飛ばされた男は他にも何人かを巻き込んで壁に叩きつけられる。魔力弾は少年に当たる所か少年の余りの素早さに翻弄され、寧ろ同士討ちにおいてしか戦果を上げなかった。既に立っている者は少年を含めたった二人。最後に残った男は震える唇をそれでも動かして何とか人間の言葉を紡ぐ。

「お、お前。一体何者」

返答の変わりに男は白い光を少年の両手に見た。
まるで獅子王が哀れな得物を噛み砕き散らすかのように、少年は白刃握る両手を交差した。

最後の一人が倒されあらゆる音が消え失せる。
静寂訪れる中、少年はポツリと呟いた。

「斬った感触はある。血は流れない。これが非殺傷設定か」

−−−−−−−−

そもそもの事の発端はエレギオのこんな発言からだった。

「リオンくーん。お仕事の時間でっせー」

魔法を習いに部屋を訪れたのリオンが見たのはその言葉と共にいっそ気持ち悪いと思えるほどのニヤニヤ笑いを顔に貼り付けたエレギオだった。ほぼ反射的にドアを叩きつけるように閉める。グシャアッ!!! と何かが潰れた様な音がしたが気にしないようにした。

「あっぶねえな!」

だがエレギオもさる者。不穏な空気を野生の勘的な何かで予知して近くに置いてあったアイスクリームのコーンを盾にして防御する。グシャアッ!!! と言う音の正体は哀れなアイスクリームコーンがお亡くなりになった音だったのだ。結果『超スピードで迫り来る(閉まる)物理的衝撃(ドア)』攻撃をノーダメージでやり過ごす事に成功したエレギオは反撃の狼煙をあげる。具体的に言うと彼が先程口にしていた『お仕事』の内容が記された紙の束を丸めて創作武器(ただの紙の筒)を作り上げリオンの後頭部を一直線に狙う。

「なにぃっ!?」

哀れなアイスクリームコーン昇天のお知らせを受けていないリオンは驚きながらもその優れた反射神経でその凶悪な鈍器(ただの紙の束)による一撃を回避。二、三歩下がって距離をとり魔法の教科書をこれまた丸めて彼も創作武器(再三言うがただの紙の束)を作り迎撃の構えを取る。次元世界最高金額の賞金首であるエレギオ・ツァーライトと嘗て天才剣士と評されソーディアン・シャルティエのマスターであるリオン・マグナス。二人の想像すらできない苛烈な凄まじい最終戦争(ハルマゲドン)とも呼べる争いの火蓋は切って落とされ――

「……何やってんのお前ら?」

無かった。最終戦争をその言葉一つで止めたジャック・サリヴァン
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