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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十六話「弟子」
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無事終え、帰宅準備も済ませた俺は正門前で青野の到着を待っていた。


 既に青野の訓練内容は考えてある。後は彼の頑張り次第だ。


 肩に乗ったハクとスキンシップを図りながら時間を潰すこと十分。大きなリュックを背負った青野が息を切らしてやって来た。指示した通り、なかには替えの着替えが入っているのだろう。


「すみません、遅れました」


「いや、大して待っていないから大丈夫だ。ん? 朱染も一緒なのか」


 青野の隣には銀色の髪を靡かせた萌香の姿があった。


 萌香は眉根に皺を寄せながら何故か俺の顔を凝視ている。


「どうした朱染。そんなに睨まれる覚えはないんだが」


「あ、いや、すまない……。なんだか先生とはどこかで会ったような気がしてな」


 ――流石に封印しても、記憶に引っ掛かるところが出て来るか……。


 俺個人としては覚えていてくれて嬉しいやら、思い出したらと思うと不味いやら、複雑な気持ちだ。


 いくら封印処置を施しているといっても六年も前の話。いずれ記憶が戻るだろうが、それはまだ今ではない。


「おいおい、いつも教室で会っているじゃないか。ボケるにしては面白くないぞ?」


「……そうだな。勘違いか……。すまない、忘れてくれ」


 頭を振る萌香。その隣では青野が首を傾げていた。


「先生は月音の正体は知っているのか?」


「ああ、青野から聞いている」


「そうか……」


 寮への道についた俺たちはここで萌香と別れる。青野を引き連れいつものバス停に向かうと、既にバスは到着していた。


「ヒヒヒ……久しいな少年〜」


「ど、どうも」


 葉巻を咥えた運転手が低い笑い声を洩らしながら肩を震わせる。


 席に着くと扉が閉まり、バスはゆっくりと前進した。


「あの、先生……?」


「これから俺の家に向かう。そこで修業だ。詳しいことは向こうについたら改めて説明するから」


 ――詳しい話を聞きたがる青野には悪いが、説明は後にしてもらおう。今後に向けて少しでも睡眠を取っておかないと……。


 椅子に深くもたれ掛かりながら、しばしの休息を取ることにした。





   †                    †                    †





「――こ、ここが、先生の家……?」


 俺は呆然と目の前にそびえ立つ『家』を見上げる。


 眼前にはショッピングモールがあり、平日にもかかわらず大勢の客で賑わっている。少し視線を上げると、二階には大型映画館があった。


 そして、そこから更に視線を上げると
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