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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十六話「弟子」
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。せめて萌香さんの友達として胸を張れるくらいには強くならないと。


 その前にまず、自分の身を守れるようにならないといけないけど。


 先生とは放課後に正門前で落ち合う予定になっている。今は四時限目だから、あと二時間近くある。


「――青野!」


「はいっ!」


 不意に目の前で自分の名前を呼ばれた。頬杖を突いて窓の外を眺めていたのを見られたのかも。


 慌てて前を向くと、目と鼻の距離に大河原麻呂先生の顔があった!


「うわっ!」


「お主、先程から外を眺めておるが、麻呂の授業がつまらぬのかえ?」


「い、いえ」


「ならば、ちゃんと授業に集中するでおじゃる!」


「はい……」


 歴史の大河原麻呂先生はいつも時代劇で登場するような十二単衣を着込み、白塗り化粧で顔を真っ白にしている。眉毛も眉頭だけを残し、扇子で口元を隠しながら教科書を片手に教鞭を取る姿はあまりにも場違いに思えて仕方がない。


 この先生も妖怪なんだよな。一体、何の妖怪なんだろう?


「さて、話を戻すでおじゃるが、このように平安時代の貴族は大変優美で気高い存在でおじゃる。特に平安京の貴族はそれはもう素晴らしく――」


 歴史の授業なのにこの先生が話す内容は平安時代の話ばかり。先生を見ていると平安時代からやって来たのかもと思えてくる。


「ここもテストに出るからマークしておくようにの」


「先生ー」


「なんでおじゃるか、宮崎」


 おかっぱ頭の女子が手を上げた。首を傾げながら教科書を指差す。


「平安時代よりも戦国時代の話をしてほしんですけど」


 それは俺も賛成だった。別に戦国時代でなくても良いけど、平安時代以外の話を聞きたい。


 大河原先生はこめかみに青筋を浮かべると、くわっと目を見開いた。


「だ、だまりゃー! あんな野蛮な時代の話なぞしとうないでおじゃる!」


 唾を飛ばしながら突然激昂した先生は早口で捲し立て始めた。


「よいでおじゃるか。日本が出来上がって様々な時代を経て平成の世となったでおじゃるが、麻呂は平安時代こそが至高の時代だと思うのでおじゃる。第一、刀を振り回すしか能のない野蛮な脳筋どもの話のなにが面白いのでおじゃるか。やはり平安時代こそが至高にして至福の時代でおじゃる。当時の貴族は――」


 先生のマシンガントークに手を上げた女子もタジタジだ。


 俺としては何でもいいから早く授業が終わってほしいんだけど。





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