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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission7 ディケ
(3) ハ・ミル村 @
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   From;J
   Subject:Re:了解

 気遣いありがとう。また後で。

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 用件だけのショートメールのやりとりを終え、GHSを荷物に突っ込む。直後、ルドガーのGHSにヴェルから連絡が入った。ユリウスらしきエージェントが分史に入った、と告げているのだろう。

「注意したほうがいいわ。何だかそのユリウスって人、誘ってるみたい」
「だからって、逃げるわけにはいかないでしょう」
「――、ねえルドガー。私も一緒に連れてってくれない?」
「構わないが、どうして?」

 ふわん。ミュゼはミラの後ろに浮かび、むき出しの両肩に手を置いた。

「この子が心配だから。危なっかしいところはミラそっくり」
「お、大きなお世話よっ!」

 ミラの怒鳴った声は裏返り、頬は夕日にも分かるほど赤く染まっていた。
 ――異世(ことよ)の姉妹。
 ユティは戯れる女たちを被写体に、彼女たちには気取られないようにシャッターを切った。


 そのままカメラの向きをルドガーに合わせる。ファインダーの中に映るルドガーは、ミラとミュゼのやりとりに釘付けになっている。しかもルドガー本人がそれに気づいていない。

(きょうだい、ってシチュエーションで思い出しちゃったかな。いい思い出の回想なんかしてたら、まずい。せっかくマイナスに傾ききったユリウスへの気持ちがまたぐらつきかねない)

 画策していると、ファインダーの中に人物が増えた。ローエンだ。

「ルドガーさん。今、ユリウスさんのことをお考えでしょう」
「え…? あ! や、別にそんなことっ」
「会いたくない、と顔に書いてありますよ」
「……マジで?」
「今日まで何度もルドガーさんとお仕事をご一緒させていただきましたからね。これでも少しは、ルドガーさんのお気持ちを察せるようになったと自負しておりますが、いかがですか?」

 目を逸らし。首を直角に宙を仰ぎ。俯いてうなじを押さえて。

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 ルドガーはしゃがんで叫んだ。びっくり、した。

「すみませんが、分史世界に入るのは少し待っていただけませんか。ルドガーさんとお話ししたいことがありますので」
「い、いいケド…」

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