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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission7 ディケ
(3) ハ・ミル村 @
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き上げた。

「しょーがないだろ。実際に俺たちのほうが大人なんだから」
「パレンジはジュースもありますので、エルさんもご一緒しましょう」
「う……しょーがないからそれで許してあげる」

 エルは明らかに嬉しそうだ。だが指摘するとエルはムキになって否定するのでルドガーは黙っていた。沈黙は金だ。

 ふとローエンが何かに気づいた顔をした。エルがローエンにどうしたのかと問いかける。

「いえね。ハ・ミルはエリーゼさんが前に住んでらっしゃった村でもあるんですよ。果実酒のことで芋づる式に色々と思い出しまして」

 そこに撮影中だったはずのユティがぬうっと現れた。いつのまに、とはすでに誰も言わないのがユティクオリティ。

「――ルドガー」
「帰りにな。どうせ一日仕事になるだろうし、お前が泊まりたいなら泊まっていいぞ」

 ユティは能面のまま、しかし期待に(おもて)を輝かせ、ハ・ミル村入口の坂をじっと見上げた。今回は何十枚撮ってくるやら。土産話が楽しいから、ルドガーとしては大歓迎だが。

「エリーゼさんをメンバーから外してしまったのは失敗だったかもしれませんねえ」
「今度はエリーゼも一緒にくればいいよっ」
「そうですねえ。親睦を深めるために皆さんで旅行というのも悪くありませんな。一つジジイが段取りを練ってみましょうか」
「やったぁ!」

 今度はエルが翠眼をキラキラ輝かせる。今日はやたらと若い女子が眩しい日だ。

 キラキラオーラを2回も浴びたところで――村の上方からしゃがれた悲鳴が轟いた。




 ルドガーはとっさにエルを後ろにやって身構える。ローエンはルドガーの死角をカバーする位置に付く。ミラとユティはその場から動かず、しかし武器にいつでも手をやれるように構えた。

 そんな彼らとは裏腹に、ふわぁりふわぁりと漂ってきたのは、水色から浅黄へのグラデーション・ヘアと、髪以上に大きな翅を持った女だった。

 驚いたのは女の容貌や浮遊ではない。この女をルドガーは知っていた。
 初任務の分史で殺したはずの、ミラの姉、大精霊ミュゼ――!

(でもここで会ったということはこの精霊は正史世界の精霊なわけで。俺たちとも今日会うのが初めてのはず……)

「姉さん……!?」
「ミラ!? ……じゃないわね。あなたはどなた?」

 縋るようなバラ色の目が、一瞬にして曇った。ミラは俯き、両手を下で組み合わせた。顔を上げたミラは、いつもの皮肉屋な女の仮面をつけ直していた。
 思考は追いついたのに、ミラへのフォローが間に合わなかった。ルドガーは忸怩たる思いだった。

「初めまして。元マクスウェルよ」

 ミュゼはミラの自己紹介に首を傾げ、ルドガーを向いて改めて小首を傾げた。

「どういうこと?
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