第七十九話 グラドスの聖女
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第七十九話 グラドスの聖女
「急展開だよな」
「そうね」
アイナがシローの言葉に応えていた。
「こんなことになるなんてね」
「想像していなかったよ」
「私はです」
ノリスも出て来て話す。
「グラドスは殲滅するしかないと思っていました」
「殲滅ね」
「はい、どちらかが滅びるまで」
ノリスはアイナに対しても述べた。
「そこまで戦うしかないと考えていました」
「けれどそれが」
「はい」
ノリスはアイナに対して頷いてからまた述べた。
「大きく変わりました」
「まさかグラドスの為にグラドスと共闘するなんて」
「本当に意外だよ」
それをシローも言う。
「どうなってるんだって思うさ、俺も」
「しかしだ」
ここで三人の前にだ。葉月が出て来て話す。
「思えばそれは必然だったのだ」
「必然だったんですか」
「グラドスを助けることが」
「そうだ、我々は戦えない人達を守る為に戦っている」
葉月もまたこのことを言う。
「だからだ。それはだ」
「あのグラドスの為に戦う」
「それもまた」
「確かに彼等の罪は許されない」
それはだというのだ。
「しかしだ。罪を犯していない者もいる」
「全てのグラドス人がそうじゃない」
「だからなんですね」
「グラドス人全てを裁くことはできない」
「こういうものがある」
今度出て来たのはサンドマンだった。
「ゴヤの絵だが」
「ゴヤ!?」
「あのスペインの画家ですね」
「確か」
「そうだ、彼は多くの絵を残してきた」
その多くはグロテスクなものが多い。とりわけ人の顔がそうだ。そこから人間の内面を描いていたとも言われている。そうした画家だ。
「その中に二人の男が戦う絵がある」
「その絵に一体」
「何が」
「その絵は脚が埋まり逃げられないようになっている」
そうした絵もだ。ゴヤにはあるのだ。
「そして男達は戦っている」
「どちらかが死ぬまで戦うしかない」
「そういうことなんですね」
「つまりは」
「しかしだ」
ここでまた言うサンドマンだった。
「戦うだけではないのだ」
「他にも取るべき手段がある」
「そういうことなんですね」
「そうだ、戦いを止め」
彼はさらに言った。
「そして握手をすることなのだ」
「理想ではあるな」
葉月は一旦こう言った。
「だが。それを目指さなければ」
「何も生まれはしない」
「そうなんですね」
「そういうことだ。現実がある」
サンドマンは今度は現実を話してきた。
「現実だけでは世界はただ不毛になる」
「そして理想だけでは」
「夢想になってしまう」
「そうだ、現実と理想を上手く組み合わせるのだ」
サンドマンの言いたいことはそういうこと
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