第七十八話 白い烏
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だよ、今度は」
「遭遇美!」
それもまた美なのだった。
「実にいいものだ」
「何でもかんでも美なんだな」
「ああ、こいつだけは」
「そうなんだな」
皆それを聞いてだ。こう言った。
「とにかく何でもかんでも美だけれど」
「今回は違うよな」
「なあ、どう考えても」
「それに」
見ればだ。丁度グラドス軍もいた。彼等と交戦中だったらしいのだ。
それでだ。グラドス軍を見るとだ。既に壊滅状態だった。
「司令、ロンド=ベルまで来ました」
「ここはどうされますか」
「一体」
「逃げることはできない」
ゲイルだった。彼がこのグラドス軍の指揮官だったのだ。
その彼がだ。強い言葉で部下達に告げるのだった。
「決してだ」
「決してですか」
「それは」
「確かにそうですね」
「そうだ、我等がここで退けばだ」
見れば彼等の後方には民間人の船が多くあった。彼等は。
「本星への避難民達はどうなる」
「彼等がですね」
「プロトデビルン達に」
「襲われますね」
「だからだ。ここは退くな」
また言うゲイルだった。
「わかったな」
「はい、それでは」
「ここは例え何があろうとも」
「退きません」
部下達もここで言った。
「ロンド=ベルが来ても」
「それでもですね」
「そうだ。しかし」
「しかし?」
「司令、今度は一体」
「何でしょうか」
「我々は今まで地球人を野蛮だと思っていた」
そのロンド=ベルを見ながらの言葉だった。
「ずっとな」
「事実そうではありませんか」
「地球人は好戦的で野蛮です」
「ゾヴォークの物達が怠惰である様にです」
「そしてバルマーの臣民達の多くが愚かであるように」
これがグラドスの考えなのは事実だった。
「ですからそれはです」
「わかっていることでは」
「いや、どうやらだ」
「どうやら」
「といいますと」
「ロンド=ベルはだ」
その彼等についての言葉だった。
「違うのかもな」
「普通の地球人とですか」
「違うと仰るのですか」
「司令は」
「そうだ、違うようだ」
また話すゲイルだった。
「若しかするとな」
「そうでしょうか」
「所詮地球人です」
「他にもペンタゴナの者もいますが」
「所詮はグラドスではありません」
「バルマー十二支族直系ではありません」
「我等と違います」
選民思想に基づいてだった。彼等は言っていく。
「確か我等と地球人のハーフもいますが」
「それでも半分だけです」
「後の半分が野蛮な地球人のものです」
「その程度ですが」
「グラドスが高貴なのか」
ゲイルはこのことにも疑念を抱きだしていた。
「ゴステロはどうなのだ」
「あの男はです」
「例外です」
「グラドスの恥です」
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