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セビーリアの理髪師
11部分:第一幕その十一
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。実は彼は薄々わかっている。ロジーナはそれを誤魔化す。
「スザンナさんに刺繍をお送りしたのですがそれで」
「それで?」
「そこで花の下地を書くのに使いました。実は怪我もそうなのです」
「あまりにも下手だな」
 そこまで聞いてこう返してきた。
「下手!?何がですね?」
「ええい、わしを騙せると思ったか」
 激昂した声でそう言ってきた。
「いいかロジーナよ」
「ええ」
「わしは医者だ、博士だ」
 そこを強調する。
「言い訳は通用せぬ。だから御前に忠告しよう」
「私にですか」
「そうだ。刺繍だの怪我だのいう言い訳は通用せぬ。火傷でも何でもな。何故紙が足りないのかのかわしは知りたいのだ。誤魔化すのならもっと上手くやることだ」
「何のことやら」
 それでもロジーナはしれっとして言い返す。
「わかりませんが」
「では言おう。今後御前が出掛ける時にはバジリオをつけよう」
「ドン=バジリオを」
「そうだ。戸口には風も入らない。御前は完全に籠の中の鳥になるのだ」
「あらあら」
「わしは騙せぬ。それはよく覚えておきなさい」
 そう宣言するのだった。そこまで言うと一旦言葉を止めた。それからまた言う。

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