暁 〜小説投稿サイト〜
外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(2)
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かしろ』

「出来ませんね、そんな事は」
『実戦も知らない奴が生意気を言うな!』
あー、言っちゃった、それは拙いんじゃない。そう思っているとヴァレンシュタイン少将がクスクスと笑い声を上げ始めた。その姿にさらに相手は激高した。

『何が可笑しい!』
「実戦なら知ってますよ、先日の戦いではアイアースにまで行きましたからね」
『アイアース?』
「まだ名前を言っていませんでしたね、小官はエーリッヒ・ヴァレンシュタイン少将です。先日まで宇宙艦隊司令部に居ましたが今は兵站統括部第三局第一課長補佐を務めています」
『……ヴァレンシュタイン……、貴官……』

スクリーンに映る相手の顔が強張った。
「申請書を出してください」
『いや、それは、しかし……』
「分かりました、後はこちらでやります」
『そ、そうか、分かってくれるか』
相手はほっとした表情を浮かべている。マリーネもほっとした顔をしている。これで終わりかな、相手も次からはちゃんとするかな。

「ええ、貴官とこれ以上話をしても無駄だという事が分かりました。後はゼークト提督と話します。ご苦労様でした」
『ゼークト提督? おい、ちょっと……』
抗議する相手を無視してヴァレンシュタイン少将は通信を切った。そして何処かを呼び出し始めた。本当にゼークト提督を呼び出すの? 私は周囲を見たけど皆目を点にして少将を見ている。マリーネはオドオドして泣き出しそうだ。フィッツシモンズ大尉が溜息を吐くのが分かった。

繋がった……、厳めしい、不機嫌そうな顔をした初老の男性がスクリーンに映っている。帝国軍大将だ、軍服の襟には蔓が一つ、肩には線が三つ入っている。イゼルローン要塞駐留艦隊司令官ゼークト大将? 本当に呼びだしたの?

互いに敬礼をすると大将閣下が低い声で話し始めた。
『ゼークトだ』
ゲッ、やはりゼークト提督だ。どうするんだろう。
「兵站統括部第三局第一課長補佐、ヴァレンシュタイン少将です」
『うむ、先の戦いではご苦労だった。で、何の用かな、ヴァレンシュタイン少将』

う、凄い。この不機嫌そうな顔をした提督が少将を労っている。少将が立てた功績はかなりのものなんだ。
「先日、駐留艦隊よりレーザー水爆ミサイルと囮ミサイルの補給の要請が有りました」
『うむ』

私の目の前のTV電話が着信音を立てた。受信スイッチを押下すると例の少将の顔が映った。
『ヴァレンシュタイン少将を出してくれ』
えっと、どうしよう。そう思っているとヴァレンシュタイン少将の声が聞こえた。

「今ゼークト提督とお話しています。そのまま待たせてください」
「はい」
スクリーンに映る少将の顔が真っ青になった。“ちょっと待て”、“ヴァレンシュタイン”とか喚いている。うるさいな、少将は今ゼークト提督と
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ