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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(2)
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とやれ。こっちは忙しいんだ、書類ごっこに付き合ってられるか”。
直接ここに乗り込んでくる人間もいればTV電話で文句を付けてくる人間も居る。どいつもこいつも居丈高になってこちらを責める。そして私達は何時も泣寝入りだった。悪くもないのに謝って改めて補給の手配をする……。
でもヴァレンシュタイン少将がここに来てからは変わりつつある。クレームには少将が直接対応してくれるようになった。きっかけは出仕二日目に有ったイゼルローン要塞駐留艦隊からの通信だった。
レーザー水爆ミサイルと囮ミサイルの数量を間違ったのだが自らのミスを認めず口汚く女性下士官を罵る声にヴァレンシュタイン少将が見かねて代わったのだ。本当ならディーケン課長が代わるのだが課長は席を外していた。ヴァレンシュタイン少将は以前ここに居たから状況は理解している。相手は駐留艦隊の補給担当士官、階級は少将だった。
「こちらは補給の申請書通りに送っていますが」
『そんな事はどうでもいいんだ! レーザー水爆ミサイルを直ぐ送れと言っている。大体おかしいとは思わないのか、囮ミサイルの数が多すぎ、レーザー水爆ミサイルの数が少なすぎるだろう!』
相手は自分のミスを認めることなく少将を責めてきた。どうやら相手は少将の事を知らないらしい。あるいはヴァレンシュタイン少将が兵站統括部に異動になったという事を知らないのかもしれない。
担当の女性下士官は少将が責められているのでおろおろしている。私の席は彼女の斜め後ろに有るから振り返れば状況は直ぐ分る。多分後で皆に責められるんじゃないかと心配なのだろう。去年配属されたばかりの新人だ、マリーネ・エックハルト伍長、ヴァレンシュタイン少将の事は噂でしか知らない。
「そうですね、発注時点で気付きそうなものです。それに発注ミスは今回が初めてと言う訳ではないようですね。見直しはしなかったのですか?」
『なんだと!』
ヴァレンシュタイン少将のいう通りよ、この男は発注ミスの常習犯なのだ。痛いところを突かれたと思ったのだろう、スクリーンに映る男は顔を真っ赤にしている。
TV電話に映る相手は居丈高だったけどヴァレンシュタイン少将は気にした様子は無かった。平然というかおっとりした口調で対応している。もっとも内容はちょっと辛辣。一体どんな表情をしているのか、私からは少将の顔は良く見えない、残念! そして少将の後ろにはフィッツシモンズ大尉が……、あんた邪魔よ、私は少将だけを見たいの! 視界に入らないで!
穏やかに話す少将に苛立ったのか、相手はさらに嵩にかかって少将を責めたてた。そして第一課の課員は皆心配そうに少将を見ている。
「改めて申請書を出してください」
『そんな暇は無い! こっちは最前線で忙しいんだ! 一々書類なんぞ作ってられるか! そっちで何と
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