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ソードアート・オンライン 夢の軌跡
強者との戦い
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「はい。ありがとうございました」
 こうして僕は道場をあとにした。辺りは夕焼けに染まっていて、遅くなっちゃったし、父さんと母さんが心配してるよなあ、と申し訳ない気持ちになった。
 そして道場を出て数分後に、ランニング中の恭介さんと会った。
「恭介さん」
「ん? よう、翔夜。体の方はもう大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
 恭介さんは安心したようにため息を吐いた。本当に多くの人を心配させてしまったことがよくわかり、心苦しい気持ちになる。
「そうか。それにしても、今日の樫明さんとの試合は凄かったな。でも、一年くらい前なら俺と翔夜の力は拮抗(きっこう)してたんだよなあ……。成長が早くて羨ましいよ」
「毎日沢山の練習をしましたからね。それに、恭介さんたちが何度も練習試合や試合をしてくれたじゃないですか。そのおかげでもあるんですよ」
「お前はそうやって、俺らを喜ばすようなことを言うなあ。……と、そろそろ帰らないと不味いんじゃないか?」
「あ、はい。そうですね。ではまた今度」
「ああ、またな」
 そう言ってから、恭介さんはランニングに戻った。
 僕は早く帰らないといけないから、恭介さんと同じように走り出した。
 それからすぐに家に着き、元気に挨拶をした。
「ただいま!」
「お帰り」
「お帰りなさい。晩ご飯を食べるから、すぐに手洗いうがいをしてきてください」
「わかってるよ、母さん。待っててね」
 僕はそう言いつつも素早く洗面台に向かい、手洗いうがいをしてからリビングに戻った。食事は既に並んでいて、美味しそうな香りが漂っている。
 僕が椅子に座ると、父さんが号令を掛けた。
「いただきます」
「「いただきます」」
 僕はお腹がぺこぺこだったから、すぐにご飯に手を伸ばした。……うん。美味しい。
「運動したあとのご飯は、いつもより美味しいね」
「うん、そうだね。それはそうとして、樫明さんから電話があったけど、どんな無茶なことをしたの? 翔夜」
「うっ」
 いきなり直球で聞いてくるとは思っていなかったから、言葉につまった。すると父さんは鋭く追撃してきた。
「正直に話してね」
「……わかった」
 こうして僕は今日の試合のことについて口を開いた。そして話が終わると、父さんはため息を吐いた。
「まあ、理由はわかったよ。だけど、もう無茶なことはしないでね。心配したんだから」
「うん」
「でも、大きな怪我をしなくてよかったです」
「本当だよ」
 僕はそんな二人の言葉を聞いて、これからはできるだけ心配を掛けないようにしよう、と心に決めた。
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