第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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いけません、この傷の具合はマズイです」
カナリスが傷の具合を見て顔を青くする。傷は肩から腰まで斜めに入っており、かなり深い。
「畜生!! 医療班、なにやってんだ!! ガキが死にそうなんだぞ!!」
ルイメイは声を震わせて医療班を急かす。
「シキ様、シキ様!!」
クラリーベルが泣きながらシキに呼びかける。それしかできない自分の非力をクラリーベルは呪った。
そこまでしていたところに、リンテンスが歩いていくる。その顔は普段より三割増で機嫌が悪そうに見えた。
「どけ、邪魔だ、お前ら」
リンテンスは邪魔者をどかせる。
その脇にはデルボネの端子が浮遊していた。
「ばあさん、縫合の支援を頼む」
『了解しました』
リンテンスの手から無数の鋼糸が出て、シキの傷口に触れる。
もう感覚もないのかピクリともしないシキを見て、リンテンスは苛立ちを隠さずに言う。
「起きろ、起きろ馬鹿弟子。いつもみたいに軽口を叩け!」
リンテンスの超絶な技量は斬られた臓器を鋼糸による緊急縫合を可能にした。しかし、時間をかければ剄の熱がシキの身体を焼き尽くす、そのらめ数秒縫合を終える
数年前にとある汚染獣戦で人間の体内に侵入した汚染獣を殺した経験があるリンテンスで、なければ正確に臓器を鋼糸で縫い合わせ、皮膚の傷を焼いて治すなんて荒業はできなかっただろう。
むしろ、出来たのは奇跡だと言っても過言ではないのだが。
デルボネの端子がシキの身体を調べる。もし、これで異常があったら手の施しようがない。
デルクとシノーラに連れられて来たリーリンは、シキを見て口を抑える。
「シ、シキ? 嘘よね? いつもみたいに悪ふざけなんでしょ」
声を震わせて、シキに近づく。
だがシキの瞳に光が戻る気配はない。
リンテンスは、息を吐きながら上を見た。そこでは観客たちがこちらを見ていた。司会者もどうすればいいのか、未だに迷っているようでアナウンスが流れない。
検査を終えたデルボネが、その場にいる全員に結果を伝えた。
『なんとか一命を取り留めましたよ。ただ……』
いつも穏やかなデルボネの声に、困惑した感情が入り込む。
「ただ、なんだ?」
全員を代表してリンテンスが質問する。
少し間をおいてからデルボネがシキの身体を調べた結果を言った。
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