第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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駆けながら戦う。
今まで習ってきた刀の技量を、自ら試行錯誤し、盗み、そして昇華させてきた剄技、限界に挑戦し続ける剄。その全てが合わさり、二人の戦いは一種の芸術まで昇華していた。
だがこれだけの戦いで都市が無事で済むはずがない。何より、今までシキとレイフォンの戦いを見守り、邪魔をしないようにしていた天剣たちが身動きが取れない状況にある。それなのに都市はおろか闘技場は天剣を持つ前と一切変わらない。
なぜなら、シキとレイフォンが戦っている闘技場にバリアのようなものが張られ、外部に衝撃が漏れていないのだ。観客たちは天剣の新たな剄技だと安心していたが、天剣たちはその不可解なバリアに唖然としていた。
だが、シキとレイフォンには端から周りの被害など頭に入っていない。互いの感情をぶつけ合うだけだ。
「だらっ!!」
「ふっ!!」
何度目かわからない刀身のぶつけ合いをした後に、二人は一時的に距離を取る。
「……レイフォン、次の一撃で決めよう」
「うん、これじゃ決着がつかない」
そうレイフォンの言うとおり、決着がつかないのだ。
この時、二人の剄はなぜかほぼ互角になっていた。元々、剄の力比べならシキの方が余裕で勝っているのだ。それこそ、最初の斬撃で勝敗が決するほどに差はあったはずなのだ。
なのに今は互角、不可解だが認めるしかない。
それにこのままでは一生勝負がつかないかもしれない。刀技ではレイフォンに分があるが、レイフォンは急激に上がった剄力に慣れていない。
時間をかければ慣れていくだろうが、そんな余裕はこの場には存在しないし、慣れない剄が暴発した場合のスキは致命的なミスにつながるだろう。。
ならば次の一撃で決めたほうがいいはずだ。
二人は天剣を腰だめに構える。左手で刀身を持ち、右手は柄を握り締める。剄技を放つために練っているのだが、身体から溢れ出した剄がぶつかり合い、一足先に戦いを始める。
距離を測り、ジリジリと距離を詰めていく。止まったのは、お互い一歩進めば相手を斬れる距離だ。大体二メルくらいだろう。
観客は押し黙る。
誰も音を出せなかった、沈黙が空間を支配し、息苦しさが続く。数秒なのか数分なのか、観客たちは固唾を飲んでいた。
そんな時、誰かが金属製のコップを落とした。観客席の椅子にぶつかり、心地よい音が響いた。
その音と共に二人は一歩を踏み出し、お互いの人生最高の焔切りを繰り出した。
溜めに溜め、練りに練った剄が最高の錬金鋼を赤く染め上げる。。
ぶつかった剄の光がシキとレイフォンの視界を塞ぐ。両者とも顔なんて見えないため、天剣を通した圧力だけを頼りにする。
「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」
叫び、そして剄を上昇させていく。腰にある剄脈か
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