第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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が落ちる瞬間を。
「ッ!!?」
直後、リーリンは声にならない悲鳴をあげた。
シノーラは崩れ落ちるリーリンの身体を受け止める。
シノーラの顔には深い悲しみと期待が混ざり合っていた。
「やはり……そうなのね」
シノーラがそう呟いた時、王宮がある方角から何かが飛んでくる。
それを見た天剣たちは少なからず動揺した。
「アレは……イカン!! 今、あの小僧どもがアレを手に持ったら」
飛来してきた物が天剣だといち早く気づいたティグリスは、闘技場に向かおうとした。
今、シキたちが天剣を持てば、どちらかが死ぬ結末しか待っていないとわかったからだ。なぜ天剣が飛んできたのという疑問を抱く時間などなかった。
しかし、ティグリスや他の天剣たちが動くことはなかった。
天剣たちの身体に何かが巻きついてきたのだ。それにより、天剣たちは動きを封じられる。
力任せに振りほどこうにも全員、剄が何故か使えずにいた。天剣たちは困惑したが、目の前の戦いを止めることが出来なかったことを歯噛みをする。
次の瞬間、二つに分かれた天剣を持ったシキとレイフォンが刀を振るった。
振った武器の形は刀だった。
それを今まで注ぎ込んだことがない量の剄で振る。
轟音とともにシキとレイフォンが振った刀がぶつかり合う。
そのまま天剣と天剣を打ち合わせ、鍔迫り合いの状態になる。そこでシキは初めて、天剣を見ることができた。
美しい刀だと思う。一切の装飾はなく、戦いだけに特化したものだとひと目でわかる。何よりもシキとレイフォンの剄に応えてくれるのが頼もしい。それになぜか使い慣れた刀の感触や重みが再現されているせいで、新しく握ったという感触ではなかった。
なぜ復元できたのか、そもそもなんでここに飛んできたのかなどはどうでもいい。
「あぁあああっ!!」
衝剄を放ち、レイフォンを吹き飛ばす。
ただの衝剄なのに、先の老生体相手にぶつけた焔切り以上の剄力を注ぎ込んだ。壊れることはない、それだけでも天剣の並外れた耐久性がわかる。
だがレイフォンも負けてはいない。同じく天剣で衝剄を受け止め、返す刀で上空に切り上げる。
シキとレイフォンは剄脈から剄を練り続ける。もう普通の錬金鋼では耐え切れない量をとっくに超えている。だが、練るのを止めることはない、むしろ自らの限界に挑戦していると言わんばかりに剄を練る。
胸にあるのは束縛から逃れた開放感だ。流せなかった剄を存分に流す。気持ちが良くないわけがない。
動きがさらに激しくなり、シキとレイフォンは剄そのものになったような錯覚に陥る。
もう頭で行動はしていない。二人は剄脈で動いていた。
何度も斬撃を繰り出し、拳を打ち合わせ、蹴りを出し合い、剄を練り上げる。闘技場の隅から隅まで移動し、時には空を
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