第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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でも二人は拳を握り、殴り合おうとしたそんな時だった。
「お、オイ! あれはなんだ」
誰かが上空を指差した。
次々と上を見て、今日何度目かわからない驚きを表す。
天剣たちもそれを見て驚き、なぜだと口にする。
シノーラはそれを見ながら、唇を噛み締める。
「なんで来てしまったの? ヴォルフシュテイン!!」
シノーラが叫ぶと、一条の細い光がシキとレイフォンの丁度中間地点に落ちた。
それは無機物だ、ただしただの無機物ではない。グレンダンに伝わる十二個しかない錬金鋼……。
「「ッ!!」」
なぜ、その貴重な錬金鋼がここにあるのかはわからない。だが、武器があるなら取らねばならない。
シキとレイフォンは同時に走り出した。
実際には一秒も満たない時間だろう、しかし当人たちには永遠に感じられた。
手を伸ばし、相手よりも早く取ろうとする。
そこで変化が起きた、天剣の光が二つに分かれたのだ。まるで、二人の決着をつけさせようとしているかのように。
疑問はなかった、そんなもの挟む余裕がなかったとも言える。
「あぁあああっ!!」
「うぉおおおっ!!」
二人は叫びながら、手の中にある武器を持った瞬間、吠えた。そして振り向きながら基礎状態のまま、天剣を振るった。
サイハーデン刀争術、虚蠍滑り。
次の瞬間、無秩序に荒れ狂った白銀の光が伸びて、激突した。
シキとレイフォンが天剣を掴む、ほんの少し前だ。
戦いが始まる前のほのぼのとした雰囲気が消え去り、リーリンはシキとレイフォンの殺し合いを見ていた。だがそれも限界が近づいていた。
リーリンはもう見ていられなくなり、目を伏せようとしたがクラリーベルがそれを許さなかった。リーリンの顔を掴み、二人の戦いに目を向けさせたのだ。
「よそ見してはいけません」
「無理よ、もう私は無理なの!!」
孤児院の子供たちは普段、冷静なリーリンが取り乱している姿を見て動揺する。
リーリンにとって二人はとても大切な存在なのだ。その二人がお互いを激しく憎しみあい、殺そうとしている。たった十歳の女の子には辛い体験だろう。
「あなたが見ないでどうするんです!?」
「見たくない! シキとレイフォンが殺し合ってる姿なんて見たくない!!」
ズキリとリーリンは右目が痛むのを感じた。
だが、それはすぐに消える。
「見てあげてください、悔しいですがシキ様とレイフォンさんの戦いを真に見届ける役目はあなたしかいないんです!」
「そんなの知らない! 私は、私は……ッ!!」
右目が再び痛む。
リーリンは耐え切れなくなって、レイフォンを見る。それが救いになると信じて。
しかし、それは間違いだった。右目の痛みが激しくなり、リーリンは見た。レイフォンの身体に茨から落ちた刺
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