第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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右頬に拳を受けたレイフォンは痛みを耐えて、受身を取る。
その上空には飛び蹴りの体勢に入っているシキがいた。
そのまま急降下、レイフォンは身体を丸めて転がりながら避ける。轟音と共に降って来たシキは着地のために一瞬硬直する。
そこにレイフォンが肉迫する。
まずは拳が飛んできたが、首を横にして回避する。間髪いれずに裏拳の要領で横に拳を振ったレイフォンの攻撃をしゃがんで避ける。だが、すぐにシキがレイフォンから離れなかったのが次の行動に響いた。
「かぁっ!!」
内力系活剄の変化、戦声。
大音量の声でシキの動きが止まった。
すぐにレイフォンの足がシキの胴体を狙って跳ぶ。
動けないシキはそれをモロに受けて、横に吹き飛び壁に激突する。土煙でよく見えないがレイフォンは油断しなかった。
「……ッ!?」
それが功を成しレイフォンはバックステップで下がりながら、衝剄を避けることが出来た。
下がりながらレイフォンは疑問に思う。完璧だったはずだ。角度、威力共に申し分ない一撃、いくらシキでもアレを受けて平気なはずがない。
「危なかった、ガハッ!」
土煙の中から血反吐を吐きながらシキの声が聞こえる。
煙が風によって剥がされるとそこには身体の周りに、金色に輝く剄を纏わせたシキだった。
武芸者たちはそれを見て驚き、その名を口にする。
「馬鹿な……刃鎧だと!?」
外力系衝剄の変化、刃鎧。
天剣一の苦労人、カルヴァーン・ゲオルディウス・ミッドノットが独自に編み出した剄技だ。
鎧の名前が付いているように、防御を軸とした剄技であるが同じ天剣の剄技である金剛剄よりも防御力はない。
だが、高密度の剄は半物質化している刃鎧は粘体のように、動くものに向けて、瞬時に刃状の形で固体化する。攻性防御と呼ぶべき剄技である。
シキは蹴られる瞬間に刃鎧を展開し、なんとか威力を減衰させることができたのだ。レイフォンの足はズタズタに裂かれており、見た目は派手に出血しているように見える。だが実際は表面が深く切れただけでまったく問題はない。
シキは刃鎧を解除する。まだまだ直す点もあり、余計な剄を使いたくなかったのだ。シキの剄量ならば後三日ほどは持たせる自信があるが、瞬間の剄力で負けたら話にならない。
シキは驚いていた、レイフォンがこれほどまで体術を鍛えていたとは知らなかったからだ。
「誰もが努力しないわけじゃない。君のように才能は持ってないんだ」
「お前が言うのかよ、天才」
話を聞いていた武芸者全員が、お前らが言うなと心の中でツッコんだ。
これで才能ないと言われたら、世の中のほぼ全ての武芸者は才能がないということになってしまう。
シキとレイフォンは再び激突し、手と手を合わせながら押し合いをする。
身体から溢れ出た剄が、強風
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