第一章 グレンダン編
天剣授受者
天から落ちる剣
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の化錬剄変化、蛇流。
普通に見ただけでは見えない、極薄の糸に刀の衝撃を伝える。元々は拳の衝撃を伝える剄技なのだが改良して刀技にアレンジしている。
その衝撃はまっすぐレイフォンに進み、そして跳ね返された。
シキはすぐさま糸を切り、その場から離れる。跳ね返された衝剄がシキがいた場所に着弾し土煙を上げる。
間違いなく、今のは金剛剄。だが、レイフォンがこの剄技が使えるとシキは知らなかった。
「シキを見て、覚えた」
レイフォンがポツリと呟くと、シキは合点がいった。
レイフォンの恐ろしい点はほぼ見た剄技を自分のものにしてしまう点だと思い出したからだ。そうなるとシキが使える剄技をレイフォンは使えるということになる。
なぜ使えるのかというと練習などで自慢げに実演したからだ。
蛇流は初めて見せた。さすがに化錬剄をその場でコピーできるとは思いたくないが、シキは舌打ちをしながら次に移行する。
だがレイフォンの剄技が発動する方が早かった。
サイハーデン刀争術、円礫。
レイフォンを中心に衝剄が巻き起こる。
シキは刀で衝剄を切り払いながら、前に進んだ。引くことなど一切考えない愚直な突撃、だがレイフォンは何をするのか理解し、同じように繰り出す。
サイハーデン刀争術、波紋抜き。
武器破壊の剄技が同時に発動して、お互いの錬金鋼にダメージがいく。相殺されたことで双方とも破壊を免れたが、刀身に罅が入っていた。
シキとレイフォンは刀を投げ捨て、拳を繰り出す。
サイハーデンは刀の武門だ。それに間違いはないし、扱う剄技はほぼ刀技で間違いではない。だが、サイハーデンは勝つためのものではない。生き残るための刀技、それがサイハーデンである。
つまりは生き残るためならなんでもする。
レイフォンは地面の土を蹴り上げて、目潰しを狙った。シキは先ほど壁に激突した時にもぎ取っておいた壁の一部を懐から取り出す。
それは武芸者として褒められた行動ではない。武芸者とは高潔でなければならないというのが普通だ。武器を持ち、正々堂々戦う、それが理想系だ。
だから武芸者たちはその行動に疑問を持つ。そこまでして生き残りたいかと。
シキとレイフォンに聞けば、一言一句同じことを言うだろう。あぁ、そうだと。
レイフォンが蹴り上げた土はシキの目にかかったが、シキの振り下ろした壁の一部はレイフォンを空振り、そのまま地面を砕く。
後ろに回り込んだレイフォンは衝剄を放とうとする。だが、その前にシキは手で掴んでいた土をレイフォンの目に目掛けて投げる。
真正面から受けたレイフォンは、目に入る異物で一瞬だけ気を抜いてしまった。シキはその隙をついて、レイフォンの右頬を殴り抜けた。だが浅い角度に入ってしまったらしく、感触が軽かった。
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