第56話
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。
この件は学校に着いてから先生の口から直接聞く事になると思うから説明はしないけど、常盤台の理事長の許可を得て来ているから問題はない筈よ。」
いや、色々問題はあるだろう、と麻生は思った。
しかし、いくら理事長の許可を得たと美琴の口から教えて貰ったとはいえ未だに周りは麻生の事を警戒している。
どこの馬の骨とも分からない自分を警戒して当然か、と麻生は考え美琴に話しかける。
「おい、俺は歩いて向かう。」
「何言ってんのよ、此処からだとまだ距離があるわ。
バスを使わないと時間がかかるでしょ。」
「俺が乗ったら周りの奴に迷惑がかかる。
お前は先に行って遅れると理事長さんに伝えてくれ。」
そう言って麻生はバスを降りる。
「ちょっと!!」
麻生が降りようとするが美琴に腕を掴まれてしまい、下りるタイミングを失いそのままドアが閉まる。
ため息を吐いて麻生は周りからの視線を感じながら、バックから本を取り出して立ち読みをする。
この本は前に桔梗が麻生にプレゼントしたものだ。
麻生の部屋はほとんど物という物が無かったので桔梗が本でも置けば、と言って麻生にこの本を渡した。
ちなみのジャンルはミステリー小説。
美琴は麻生が本を読む事に内心驚いていたが、それよりも注意を引いたのは麻生の姿だった。
麻生の顔は一言で表すならイケメンという言葉がぴったりだった。
さらに手すりに腰を預け、本を読んでいる姿はとても似合っていてよりかっこよさがより際立っていた。
一瞬、麻生に見惚れた美琴はふと周りを見渡すとそのほとんどが麻生の姿に釘付けだった。
理由は美琴が麻生に見惚れているのと同じだろう。
さっきまで警戒していた生徒も同じだった。
麻生はそんな事に気づく訳がなく、一人黙々と本を読み進める。
バスが常盤台中学前につくと、麻生は誰よりも早くバスを降りる。
美琴も慌てて麻生に着いて行く。
校舎も同じような感じで常盤台の生徒は男である麻生を見るとじっと見つめてくる。
気にせずに美琴に着いて行き、理事長室前まで来る事が出来た。
ノックして麻生は部屋に入る。
「ようこそ、常盤台中学へ。」
眼鏡をかけた女性が椅子に座って麻生に微笑みながら言う。
歳は四〇〜五〇くらいだろう。
麻生は一礼して言葉を返す。
「本日は私を一時編入を許可していただきありがとうございます。」
麻生のちゃんとした誠意と敬語を聞いた美琴は少し驚いている。
「いえいえ、あなたを此処に一時編入させるのは私達の学校にも無駄な事ではありません。
所謂、ギブアンドテイクのような関係です。」
理事長は机から封筒と常盤台の制服を取り出して机の上に置く。
「これにはこの常盤台について書かれた資料が入っています。
そし
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