第56話
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顔を見て美琴の表情が凍りついた。
声をかけてきた生徒には見覚えがあった、嫌というほどに。
「何であんたが此処に居んのよおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
麻生恭介の姿を確認した瞬間、敬語で話すという事など頭から吹っ飛んでいた。
美琴の叫び声に周りの生徒は何事かと視線を向けてくる。
「おい、うるさいぞ。」
「うるさいとか今はどうでも良いのよ!!
何であんたが此処に居んのよ!?」
「何でって言われても俺がこの常盤台中学に一時編入するからだ。」
「へ?」
麻生の言葉を美琴はすぐに呑み込む事が出来なかった。
「ごめん、もう一度言ってくれる。」
「だから、今日から俺はこの常盤台中学に一時編入するからだ。
何なら証拠を見せようか?」
大きなバックから編入について説明が書かれたプリントの入った封筒を取り出す。
それを見た美琴は麻生が言っている事が冗談でも何でもなく真実なのだという事が分かった。
「どうして・・・どうしてよりにもよってあんたなのよ・・・・」
嫌という訳ではないが何故か素直に喜ぶ事が出来ない。
麻生はそんな美琴の心情など気にせず話しかける。
「それで俺は今からどうすればいいんだ?」
「はぁ〜〜〜〜・・・・これから理事長の所まで案内するからついて来て。」
明らかにテンションが下がっているが美琴は麻生を理事長室まで案内する。
美琴に先導される形で常盤台の敷地に入る。
周りには今から学校に通う生徒がちらほら見えた。
常盤台の制服以外の制服を着た生徒も歩いている。
しかし、そこにいる全員は女子生徒だ。
彼女らは男である麻生が此処にいる事に驚き、ヒソヒソと聞こえない声で話し合っている。
麻生は気にすることなく周りを観察しながら美琴について行くと、美琴は此処について説明を始める。
此処は「学者の園」と呼ばれ、常盤台中学を含む五つのお嬢様学校が作る共用地帯だ。
敷地内には学校施設に加え居住区や実験施設、それに喫茶店や洋服店といった生活に必要な店舗も揃っているが、デパートやショッピングセンターのような大型店舗は存在しない「必要なものを必要なだけ詰め込んだ街」と美琴は説明する。
確かに此処は街という説明は正しいと麻生は思う。
バス停について、そこから常盤台中学に向かう。
だが、麻生はバスに乗った瞬間に動きが止まる。
なぜならバスの中には女性しかないからだ。
常盤台の制服を着ている女子生徒もいれば違う制服を着た女子生徒もいる。
皆が麻生がバスに乗り込んでいる事に驚き、騒がしくなる。
それを見かねた美琴は騒ぎを治める為に事情を説明する。
「みんな落ち着いて。
彼は他校から常盤台中学に一時編入してくる人よ
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