第十一章
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のも時間の問題だ。…いつでも配信はできる。あんたの預かってるデータが来れば、な』
「うむ…このままじゃ、MOGMOGの件も何もかも、全部俺のせいにされるな…せめて、あのときの『会議』の証言が取れれば…」
薄暗い階段の踊り場に、沈黙が流れた。無性に煙草が吸いたい気分だったが、少しでも気配を気取られる危険は避けたい。イライラと、打ち放しのコンクリート壁を叩くだけだった。受話器の向こうの芹沢が、ふっと鼻息をもらした。
『…なあ。その会議にはノーパソか何か、持って行ったか』
「あ?…あぁ、会社支給のやつをな」
『今、どこにある』
「俺の机の、一番下の引き出しだ。あ、鍵かかってるからな」
『鍵か…壊すぞ』
「…好きにしろ。あとは任せて大丈夫か」
『大丈夫じゃねぇよ。…データ届けるのは、無理か』
「病院を出れないんだよ。ネットで送るには重過ぎるし、リスクも大きい…もう少し足掻いてみるが、難しいところだ」
『そうか。最悪の場合はMOGMOG関連のデータ、全消去するぞ。伊佐木達に引き渡すのも癪だし』
「……仕方ない」
『そうならないように、何としてもデータを届けろ。…それと、少し気になっていることがある』
「どうした」
『伊佐木課長が、会社に来ていないらしい。あんたを陥れるチャンスなのにな』
「それは…嫌な予感がするな。ひょっとして、烏崎もか」
『烏崎?…あいつしばらく来てないよ。予定表では出張ってなってるが』
「そうか。…了解。心に留めておく」
携帯が切れた。紺野は油断なく辺りに視線を走らせてから、階下に降りて行った。
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