エピローグ
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んでいた。
絞り出すような涙声でそう語るリコの言葉が、シュウの胸を衝く。そしてそこまで自分を想ってくれているこの人達のもとに帰ってこれたことの喜びがじわりと広がっていくのを感じていた。
同時にシュウの脳裏には二人の人物、ひょうきんな姿を装ってばかりいた父親とそれを笑顔を絶やさずに支える母親の面影がよぎっていた。
一人息子として二人には十分に愛されていたと、シュウは自覚している。幼い頃異国の血が混じった顔立ちのせいで陰湿ないじめを受けたとき、小学校に怒鳴り込んだ父の見たことも無かった憤怒の表情は今でも目に焼きついていた。
現実世界でおそらく寝たきりでいるのだろう自分を両親はどう見ているのだろうか、おそらく彼女たちのように不安に苛まれながら自分の帰りを心待ちにしているのではないかとシュウは思いを馳せる。
それがこの世界から帰らなければいけないとシュウが思う、最大の理由だった。きっとこの世界での生を望んだアルバには、自分の帰りを待っていてくれていると、信じることができる相手がいなかったのだろうとも察していた。
三日もの間レベリングから遠ざかっていた遅れを取り戻さなければならない、その前にと、シュウは目の前の少年少女たち、そしてその言葉を伝え忘れていたミドウに向けて口を開く。
「待っててくれてありがとう……ただいま」
思いのままにシュウがその言葉を口にすると、少女二人は顔を上げ、泣き笑いのような顔になりながらもはっきりと、声を重ねて応える。
「おかえり」
と。
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