エピローグ
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インゴットに戻し、シュウが持ち込んだ金属素材と合成したものだ。亡き彼の武器を示しこの依頼を行ったシュウにミドウは一言、「承知した」とだけ答え何の事情も聞くことなくすぐに作業に入っている。
シュウとアルバの間に何があったのかは薄々と察していそうな彼であったが、その沈黙に甘えシュウも自分から事の経緯を話すことはしなかった。
二人に見守られる中、数百の金槌で打ち鳴らす音が響いたとき、インゴットが白光を放ちながらその形を変じさせはじめる。ジェネレート作業が完了した証だ、インゴットは見る間に鋭く細く伸び、指定された武器カテゴリである突撃槍の形状へ形を変えていく。
「完成だ」
形成を終え、打ち上げた短突撃槍を取りクリックして武器の詳細データを確認すると、ミドウは突撃槍をシュウに差し出す。
「名は《エンデ・イルズィオン》だな、前のより少しばかり重くなっているぞ」
柄を向けて差し出されたそれを手に取ったシュウは、ずっしりと手にかかる重みを感じながら見回したそのディテールに思わず見とれていた。
以前の武器を素材にしたわけでもないのに、その形状は《シュルツェンリッター》と同じく護拳を備えている。しかし明確に異なるのが色合い、鋭い槍身は素となった両手剣が持っていた燃え上がるような赤に色づいている。
その色と増した武器の重みはまるで、両手剣の持ち主だった彼のこの世界に残した未練が宿ったかのようだった。
「確かに、重いな」
「扱えそうか?」
「筋力値はまだ伸ばせるし、なんとかなる」
突撃槍を構え突き、払う動作を数度繰り返しシュウは新しい武器の感覚を試す。
腕に馴染むには暫くの時間がかかりそうだが、攻撃力は増しているのに加え以前の槍と変わりない運用が可能な出来にシュウは満足していた。
「いい出来だ、ありがとうミドウさん。お代はいくらになる?」
背のホルダーに突撃槍を吊り、武器製作の代金を尋ねたシュウに、ミドウは小さく首を振り答える。
「ツケにしておく」
「は……? いや、武器一つ分ぐらいの金なら十分持ってると思うんだが」
支払いを済ませようとするシュウの言葉にもミドウは頑として首を縦に振らず、受け付けなかった。素材持ち込みとはいえオーダーメイドの武器製作の代金相場は決して安いものではないのに、ミドウのその対応はシュウに理解できなかった。
「お前は借金を踏み倒すような真似はせんだろう」
「それはそうだが、今払えば済むことじゃないのか?」
「いや、この支払いはお前が次に武器を作り直すとき、無事に帰ってきてからにしてもらう」
その言葉でシュウはミドウの意図するところに気付きハッと目を瞠る。彼の目的は自分の懐事情
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