第七十一話 内紛
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第七十一話 内紛
「貴様等三人を今この場で銃殺にする」
ギワザがまた言った。
「よいな」
「はい」
マクトミンはいぶかしみながらもギワザの言葉に答えた。
「ただ」
「ただ。何だ」
「一度調べられては」
このことも言うのを忘れなかった。
「そうされては」
「この者達が白かどうかか」
「はい」
言うのはこのことだった。彼はネイが裏切ったとは考えていないのだ。
「それはどうでしょうか」
「その必要はない」
しかしギワザの返答は変わらない。
「この者達は間違いない」
「裏切ったというのですね」
「そして平然と我等の中に入りだ」
ギワザはその言葉を続ける。
「中から食い荒らすつもりなのだ」
「馬鹿な、そんな」
ネイがそれを必死に否定する。
「私はギワザ様の為に」
「黙れ!」
だが、だった。ギワザはネイの言葉を否定した。
「そんな筈があるものか!」
「何故その様なことを」
「何度も言う。何故包囲されて逃がされた」
「ですからそれは」
「それこそが裏切りの証!」
ギワザはそう決めつけていた。
「ネイ!貴様を今ここで処刑する!」
「うう・・・・・・」
「ネイ様、ここは」
「止むを得ません」
アントンとヘッケラーがネイに言ってきた。
「一時ここからです」
「去りましょう」
「ギワザ・・・・・・」
だが、だった。ネイは今明らかに怒っていた。信じていた、愛していた者に信じてもらえなかった怒りがだ。彼女を覆っていた。
それでだった。すぐに銃を抜いたのだ。
「最早こうなれば!」
「何をする!」
「殺してやる!」
怒りに燃えた目での言葉だった。
「ここで!このあたしが!」
「いかん!」
「ネイ様、いけません!」
アントンとヘッケラーがここで動いた。
彼等は銃を抜いてだ。それを乱射した。
「うわっ!」
「なっ!」
それで何人から傷ついた。それからだった。
アントンがだ。懐に手を入れてだ。
何か四角いものを出してそれを床に投げ付けた。それで煙幕を張ったのだった。
「去りましょう!」
「ここは!」
「ギワザ!ギワザ!」
だが、だった。ネイは完全に我を失っていた。
あくまでギワザを殺そうとする。その彼女にだった。
ヘッケラーがそっと近付きだった。当身を浴びせた。
「うっ・・・・・・」
「申し訳ありません」
「ではヘッケラー」
「うむ」
アントンの言葉に応える。そしてだった。
彼女を担いでだ。その場を逃げ出したのだった。
煙幕が消えた時三人の姿はなかった。ギワザは右手を負傷していた。
傷口を左手で押さえながらだ。彼は言った。
「追え!」
「は、はい!」
「それではすぐに」
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