第七十話 猜疑心
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「なあ」
「アスカってどう考えてもな」
「ジャジャ馬だろ」
「なあ」
皆こう話す。まさにそうだというのだ。
そしてだ。アスカ自身にだ。こう話すのだった。
「なあ、落ち着いてな」
「毎回毎回喧嘩しても仕方ないだろ」
「だからな」
「何だっていうのよ」
皆に止められていささか面白くないアスカだった。
「あたしってそんなにトラブル起こしてるの?」
「起こしてるよな」
「なあ」
「どう考えてもな」
「すぐ突っかかるしな」
それがまさにアスカだった。
「特にシンとな」
「殆ど毎日喧嘩してるしな」
「よく続くよ」
「他にもケーンとか甲児とか」
「相手も多いし」
「けれどそれでも」
ここでシンジがこんなことを言った。
「あれだよね。何か険悪なものはないんだよね」
「実は」
レイがぽつりとした口調で話す。
「アスカは」
「アスカは?」
「皆が好きだから」
こう指摘するのだった。
「険悪なものはないの」
「そんな訳ないでしょっ」
アスカは白々しい言葉で打ち消そうとした。
「あたしはね、そんなことは全然」
「いや、あるだろ」
「そうだよな」
「どう見てもな」
「そうよね」
皆わかっていた。そのうえで言うのだった。
「アスカは素直じゃないからなあ」
「それもかなり」
「何て言えばいいのかな」
「つむじ曲がり?」
今言ったのは斗牙だった。
「それかな」
「こういう場合は臍曲がりっていうのよ」
ルナがその斗牙に話す。
「どっちかっていうとね」
「ああ、そうなるんだ」
「そういうこと」
「まあアスカのお臍は曲がっていないけれど」
今言ったのはミヅキである。
「それでも性格がね」
「根はいい人なんですけれどね」
エイナは既にこのことがわかっていた。
「そこがどうしても」
「何か滅茶苦茶言われてるわね」
アスカもそれはよくわかった。
「何でそこまでなのよ」
「っていうかさ」
シンジもその彼女に言う。
「アスカってやっぱり」
「何よ、今度は」
「少し素直になったらいいんじゃないかな」
こう言うのだった。
「それで大分違うと思うけれど」
「そうね」
レイもシンジのその言葉に頷く。
「そうしたら本当に」
「そうだよね、本当に」
「ふん、あたしはあたしよ」
やはりこう言うアスカだった。
「あくまで我が道を行くわ」
「そうなんですかあ」
今出て来たのはグレースだった。
「アスカちゃんってしっかりしてるんですねえ」
「有り難う、グレースさん」
アスカは彼女には笑顔だった。
「何かグレースさんに言ってもらえたら凄く嬉しいわ」
「いえいえ、それは」
「あたしもやっとわかってきたわ」
笑顔のまま言うアスカ
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