第六十七話 リトル=セイ
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でこう言うのだった。
「どうもね」
「何かありますか」
「いや、その統治だけれど」
傍らにいるキムにこう返すのだった。
「あまりにもね」
「あまりにもとは?」
「男性的じゃないかなって思うんだよ」
「男性的ですか」
「非常に強権的で独裁体制を敷いているね」
「はい」
キムも彼のその言葉に頷く。
「そうですね。それは」
「ポセイダルは女性だと聞くけれど」
「しかしその統治は」
「非常に男性的だね」
八雲はまた言った。
「女性のそれに思えないよ」
「エカテリーナ女帝と比べればどうでしょうか」
キムはここでこの名前を出した。ロシアの有名な女帝である。
「戦争もしましたし圧政も敷きましたが」
「けれどあの女帝もね」
「彼女もですか」
「あれで非常に文化を愛したけれど」
このことでも有名な女帝であった。名君と言われているのは事実だ。
「それでも。ポセイダルは」
「そういえば」
ダバもここで気付いた。
「機械的な圧政です、ポセイダルのそれは」
「文化はないよね」
「はい、全く」
それはないというのだった。
「そうしたことには興味すらないようです」
「そこが気になるね」
八雲は考える顔になって述べた。
「若しかしたらポセイダルはって」
「まさか、そんなことが」
「まあ考え過ぎだろうね」
八雲もこう言うことだった。
「幾ら何でもね」
「そうですよね、ちょっと」
「ただ」
だが、だった。八雲はここでこうも言うのだった。
「可能性としては有り得るかもね」
「有り得ますか」
「それも」
「零じゃない程度だけれどね」
それでもだというのである。
「それはね」
「ううん、どうなんでしょうか」
「それは」
「本当に有り得ることには」
「だから僕も普通に考えてないと思うよ」
八雲自身もその可能性は殆ど考えていなかった。
「まあそれよりもね。今は」
「はい、北に」
「北に行きましょう」
こうしてだった。彼等は北に向かいながら追撃を仕掛ける。そしてだった。
敵に追いつくとだ。そこにだった。
「くっ、来たか」
「はい、ヒラデルヒア閣下」
「奴等が来ました」
「こんな時にか」
ヒラデルヒアは明らかに歯噛みしていた。
「レジスタンスの掃討も終わっていないというのに」
「ここでロンド=ベルの相手もとは」
「ついていませんね」
「仕方がない」
ヒラデルヒアは苦い顔で部下達の言葉に頷いた。見れば彼は今は普通のバルマーのマシンに乗っている。そこから全体の指揮を執っていたのだ。
「こうした時にな」
「外銀河方面軍や近衛軍の装備があれば」
「一機でレジスタンスを殲滅できたのですが」
「我等には」
「ないものを言っても仕方がない」
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