第六十六話 確信になる疑惑
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第六十六話 確信になる疑惑
ふとだ。ニコルが言った。
「あの」
「はい、何かあったんですか?」
その彼にカトルが言葉を返す。
「だとすれば一体」
「カトル君がさっき弾いていた曲ですが」
カトルはピアノの前に座っている。その彼に声をかけたのである。
「あれは確か」
「はい、ワーグナーです」
「そうですよね、ローエングリンですよね」
「結婚の曲です」
ローエングリン第三幕のはじめの曲である。あまりにも有名な結婚の曲だ。
「それです」
「いいですね、あの曲は」
「そうですよね。アークエンジェルの武器の名前にもなってますしね」
「ははは、そうですね」
ニコルはカトルの今の言葉に笑った。
「そういえば」
「ええ。本当に」
「そのアークエンジェルをかつては沈めようとしていたんですね」
ニコルは今度は己の過去を思い出した。
「それが今では」
「そのアークエンジェルに乗ることもあったりして」
「そうですよね。不思議ですよね」
「本当に」
「普段はここにいても」
彼等が今いるのはシティ7である。ロンド=ベルの面々も普段はここにいることも多いのである。
「アークエンジェルに入ったりしますからね」
「本当に人間の運命ってわかりませんよね」
「そうだよね」
シンジもにこりとしてやって来た。
「僕だってね。何時の間にかここにいて」
「そうですよね。シンジ君も」
「最初僕達は敵同士だったしね」
「そうだったよね」
シンジはカトルのその言葉にも応えた。
「色々あったよね、これまで」
「そうだよね。その間に」
「その間に?」
「カトル君に他に何かあったかな」
「マグアナック隊の人達も来てくれて」
彼が言うのはその面々のことだった。
「皆で楽しくやるようになったりね」
「ああ、あの人達ですか」
「そういえばサンドロックカスタムになってから来てくれるようになったんだよね」
「昔からあの人達には助けてもらっていて」
カトルは優しい笑顔になって話す。
「そうして今も」
「あれかなり羨ましいんだけれど」
アスカも来た。
「全く。どうしてあんたとマイクだけ」
「まあそれは何ていうか」
「けれどいいわ」
アスカは珍しく優しい笑みになっていた。
「あんたならね」
「僕なら?」
「そうよ、あんたならね」
いいというのである。
「マイクもね。いいわよ」
「何でいいの?」
シンジがそのアスカに問うた。
「カトル君とマイクは」
「キャラクターよ」
「キャラクター?」
「そうよ。これがあんたとかシンだったら許せないのよ」
「僕だったら」
「あんたは誰かに頼ったら駄目よ」
シンジにはきっぱりと言い切るアスカだった。
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