After days
summer
日常との境界
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な量ある紙の束を藍原の方に押しやり、部屋を出ていった。
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程なくして全員が集合し、並び順で一悶着あった後、何とか全員が納得できるような写真が出来上がった。
初めて茅場に会ったあの日、俺がソードスキル作成を断っていれば、あんなにたくさんの死者は出なかったかもしれない。俺はこの世界に帰ってきてから1人になると、ついその事を考えてしまう。
あの世界に善かれ悪しかれ人格を歪められた人間は少なくない人数いる。かくいう俺もその1人だ。
それが良かったのか、悪かったのか、分かるにはまだまだ時間が掛かるような気がした。
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滞在最後の晩御飯はホテルでバイキングを楽しんだ。例のごとく騒ぎが起こってチーフウェイターさんにお説教をくらうという、まぁ当然のこともあったが、おおむね何事もなく夜はふけていった。
そして―――、
『Emergency――code:008』
午前零時過ぎ、この4日間沈黙を続けていた、緊急回線がアラームを鳴らした。
『格納庫内の『ヴァレリー』が原因不明の暴走。内閣がコンディション・レッドと判断しました』
黒地薄手のTシャツと膝までの長さのズボン、それに紺色のパーカーを羽織った人影が消灯されたホテルの廊下を音もなく歩いていく。
『想定事態code:008により、第三師団の投入を閣議決定』
その間にも彼の耳にインカムから機械音声による無機質な報告が流れてくる。
『ペンタゴンより『ヴァレリー』撃滅の提案、本国政府はこれに同意しました』
薄暗いロビーを抜け、生暖かい夜風が吹く外に出る。
『水城隊長』
回線が切り替わり、東京でくつろいでいるのであろう総帥の声がした。
「はい」
『件のブツは両国の秘匿技術の決勝だ。鉄屑1つ残すな。本日午前1時を以て『アマリリス』の使用を許可。―――『ヴァレリー』を撃滅せよ』
「了解」
インカムを耳から取り外し、深呼吸をする。
「ふぅ………」
ここからは『水城螢』ではなく、『第三師団長』として振る舞わなければならない。
だが、いつもなら迅速に切り替わる思考がこの時に限ってまだ境界線を越えることが出来ない。
「困ったものだ……」
眠れなかったのか、あるいは夜の逢い引きか。恐らくは前者だろうが、ホテルの入り口脇にある巨木の影にいる
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