After days
summer
日常との境界
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手に持つ一昔前のテープレコーダーのような機械に向かって話し掛ける。
『はい。時々ノイズが入る以外は正常のようです』
「うーむ……やっぱりそこを何とかしないとな……」
眉間に皺を寄せてブツプツ何事かを呟き始める。
「かーずーとくーん?せっかく綺麗な景色見に来てるんだから暗くならない!」
「すまん……」
2人は和人が旅行中も時間を見つけては調節していたカメラプローブの試運転がてら娘のユイに海を見せていた。
が、その結果があまり芳しくないため、和人としては今すぐ調節したい所だろうが、それに気を取られてマッドな雰囲気になってしまうのは面白くなかった。
和人もそれは分かっているので、空気を変えようと口を開く。
「ところでさ、この前螢の家に行った時、部屋に写真があったろ?」
「そう言えばよく見なかったけどあったね。何の写真だったの?」
「それがさ。螢のやつ、2人の女の子と撮ってたんだよ」
「え、螢君が?」
脳裏に呼び起こされる螢のある告白。何故かその写真がそれと関係しているような気がした。
「後で訊いてみたんだけどさ。教えてくれなかったんだよな……」
「じゃあ、そのどっちかなんじゃない?螢君の想い人」
「そうかもな。似合わないけど」
「だよね〜」
もし仮に螢が居れば怒りそうな会話だったが、幸い(?)本人はここには居ない。
「そうだ!皆呼ぼうよ。せっかく遊びに来たのに写真の一枚も撮ってないよ」
「そういえばそうだな。……来るかな、あいつら」
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Side螢
「あー、もうやだ。休憩……」
「そうですね」
ペンを動かしすぎたせいで、熱をもった右手をブラブラ振りながら冷えた麦茶をあおる。
「やれやれ、何が悲しくて今時紙媒体の報告書を書かなきゃならんのだ……」
「雑務関係ならともかく、これは正式な書類ですからね。電子データではセキュリティも面倒ですし」
だからと言って全て手書きにというのは馬鹿馬鹿しい、と思ったが、それは言っても詮無きことなので麦茶をつぎ足して、呑み込んだ。
その時、脇に置いてある携帯端末がメールの着信を知らせた。
「ん?」
開くと差出人は和人で写真を撮るから浜辺に集合、と書いてあった。
「写真、か……」
正直あまり好きになれない事だが、だからと言ってばっくれるのは皆に悪い。
「行ってきていいですよ」
「……悪いな」
まだまだ膨大
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