第十話「お友達が出来ました!」
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「人を治癒できる生物」としての認識でしかなかった。
ある日、アーシアは怪我を負った悪魔と出会う。
生来の優しさもあり、悪魔とはいえ怪我を負っているのを見捨てることが出来なかったアーシアはいつものように治癒を施したが、そこを偶然目撃した教会関係者が司祭に報告した。
教会の判断は迅速かつ非情。悪魔を癒すことができるアーシアを魔女と罵り、教会から追放した。これまで治癒を持った者は世界各地にいたが、治癒は悪魔や堕天使には効果がないというのが皆の共通した認識だったからだ。
神の加護を受けない悪魔、堕天使を治癒することが可能な力。それはまさしく「魔女」と呼ぶに相応しい力と所業。
聖女として崇められていたアーシアは悪魔を治癒することが出来るというだけで、今度は魔女として恐れられ、教会から呆気なく見捨てられた。
行き場のないアーシアを拾ったのは、極東に拠点を置くとある「はぐれ悪魔祓い」の組織。つまりは堕天使の加護を受けなくてはならなくなった。
しかしアーシアは教会に見捨てられど、堕天使の庇護下にあれど、神へ変わりない感謝と祈りを捧げた。
――いつか、神様が救って下さる。
そう信じて疑わなかったアーシアだが結局、神が救いの手を差し伸べることは無かった。
教会を追われた時も誰も庇ってくれない。誰も見てくれない。
少女の味方はどこにもいなかった。
「……きっと、私の祈りが足りなかったんです。ほら、私って抜けているところがあるじゃないですか。ハンバーガだって一人で買えないくらいバカですし」
そう言って弱々しく微笑み涙を拭うアーシアの姿に、俺はかける言葉を失った。
「これも試練なんです……。私がダメなシスターだから、こうやって神様が試練を与えて下さるんです。今は我慢の時なんです」
どこか、自分に言い聞かすように言うアーシア。もう、それ以上言わなくていいんだ……。
やるせない気持ちが俺の胸を貫く。
「私、夢があるんです……。お友達を作って一緒にお買い物に行ったり、ご飯を食べたり……おしゃべり、したり……」
涙を溢れさせていた。その小さな肩は細かく震えて、涙声で自分の「夢」を語るアーシア。
俺は、そんなアーシアの姿を見て、どうしようもない怒りを感じた。
隣に座るレイは普段の天真爛漫な部分が抜け落ち、無表情だ。普段のコイツからは想像が出来ない程に怒気を滲ませている。付き合いの長い俺には分かる。こいつのこの顔は本気で怒った時の顔だ。
俺は天にいるであろう神を睨んだ。
なにが、神だ……! こんな子一人も救えないで!
今アンタに一
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