第十話「お友達が出来ました!」
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「おっとと」
石に躓き転ぶ。むー、ちょっと気分が高揚し過ぎたかな。
肘からはうっすらと血が滲んでいた。……ジンジンして痛い。
「肘、見せてもらっていいですか?」
アーシアが肘に手を当てると、温かい光が照らす。
緑色の光。アーシアちゃんと同じ瞳の色だ。
「これでどうでしょうか?」
「おー、全然痛くない。これって神器?」
曲げ伸ばししても痛みはない。肌もいつものツルツルお肌。弱酸性ビ○レのお蔭ですね。ありがとうございます。
「ああ、アーシアも神器持ちで悪魔でも治せるんだ」
何故か得意気のイッセーが答える。あんさんには聞いてないよ。
「実は俺も神器を持ってるんだ。とはいっても対して役に立ってないけどな」
「イッセーさんも神器を持っていたんですね。もしかして、レイさんも?」
「んにゃ、僕は持ってないよ。でもアーシアの神器は凄いねぇ。悪魔でも治せちゃうんだ」
アーシアちゃんは複雑そうな顔をすると、少しだけ俯いた。そして、その頬を一筋の涙が伝う。
涙は次から次へと流れだし、地面へと落ちていった。
あれ……もしかして、僕、やっちゃった? 何かアーシアちゃんを傷付けるようなことを言ったのかも。うー、どうしよう。こんな時どうやって慰めればいいんだろう。
見ればイッセーも突然泣き出したアーシアちゃんにどうすればいいのか分からない様子。
飴でもあげれば落ち着くかな?
取り合えず僕たちはベンチに腰を下ろしアーシアちゃんが泣き止むのを待った。
やがて、落ち着きを見せたアーシアちゃんは鼻をスンスンと啜りながらも語りだす。それは、彼女のこれまでの人生、『聖女』としての在り方だった。
† † †
アーシアの語る話は凄惨の一言に尽きた。
産れてすぐに親からは捨てられ、発現した神器に目を付けたカトリック教会に『聖女』として担ぎだされる。教会の門を叩く信者たちに加護と称して治癒を施し、噂が噂を呼び『聖女』として崇められた。アーシアの意志に関係なく。
それでも、アーシアに不満は無かった。教会の待遇は悪くなく、関係者は優しく接してくれる。怪我をした人を直すのも嫌いじゃない。
自分の小さな力が人々の役に立てる。それが嬉しかった。
しかし、同時に寂しくもあった。アーシアには友達と呼べる人が一人もいなかったからだ。
人々を救う力を持っていても、異質は異質。自分とは違う『モノ』には排他的な傾向がある人間にとって、アーシアは
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