第十話「お友達が出来ました!」
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「言うと思ったよ……アーシアはどうだ?」
「はい、私は構いません」
おお、やっぱりいい子だねぇ。そんないい子には飴をあげよう。
「あ、ありがとうございます」
勿論、あげるのはチュッパチャップス。最近ハマっているプリン味だ。苦労して包み紙を剥がしたアーシアちゃんはパクッと食べると、パァッと顔を輝かせた。
「――美味しいです! 私、飴食べるの初めてですけど、甘くて美味しいんですね!」
――ッ!
あ、飴を食べたことがない……?
いかん、いかんよアーシアちゃん! それは人生の半分をふいにしているよ!
くっ、宗教によっては厳しい私生活を過ごさないといけないなんて聞いたことがあるけど、なんて不憫な……。
潤んだ瞳から涙が零れないように我慢しながらイッセーの背から降りた僕は、ポケットから取って置きの飴を取り出す。
「アーシアちゃんにはこれをあげよう」
僕のお気に入り、レインボー味。製造数限定で味が七度、変わるという幻のチュッパチャップス。チュッパチャッパーにとって喉から手が出るほどの逸品だ。
目を白黒しながら受け取ったアーシアちゃんの頭を撫でた。髪がサラサラしていて気持ちよかったと言っておこう。
その後、ゲーセンに向かった僕ら。UFOキャッチャーではイッセーが千円も費やしてチカチューのぬいぐるみをアーシアちゃんに贈呈したり、プリクラでは三人で撮った写真に面白可笑しく落書きをして笑ったりと、終始笑顔が絶えなかった。
「んー、楽しかったねぇ」
「はい! こんなに充実した日は初めてです!」
「にはは、それなら良かったよ」
公園に寄り、ぶらぶらと歩きながら一日を振り返る。僕もイッセーもアーシアちゃんも楽しめたし、良い休日だったと思う。
ふとイッセーが怪訝な顔で僕を見た。
「そういえばレイって普通にアーシアと会話してるけど、英語できたっけ? 俺は悪魔だから大丈夫だけど」
あー、アレね。悪魔に転生した時の特典で言葉の壁を取っ払うんだっけ? でもそれって言語限定だよね。英語のテスト百点だぜって豪語してたけど、筆記だと意味ないよイッセー。
ちなみに僕は英語の成績は可もなく不可もなくといったところ。英会話なんてとてもじゃないが出来ないけど、そこはほら、僕だし? ちょちょいと『力』を使えば余裕さね。必死になって英会話に力を入れてモテようと画作していた元浜くん乙って感じ? やっはー。
「まあ、僕だから?」
「……そうだよな、レイだしな」
あれま、納得しちゃった。イッセーの頭の中では僕はどんな人なのかな。
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