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IS インフィニット・ストラトス〜転生者の想いは復讐とともに…………〜
number-25 summer vacation
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向けていた真耶は、自分が何を考えているのかが馬鹿らしくなった。
後者の方は有り得ない。
あの人はいつだって弟さんを心配していた。
こんなことを考えることの方が間違っている。と、目線をモニターに戻して頭を左右に振った。


そろそろ稼働時間が終わる。
マイクを手にしてスイッチを入れた。


      ◯


麗矢は屋上にいた。


いつもは喧噪に包まれている学園も今は夏休み。
ほとんどの生徒は親の元へと帰っている。
だからとても静か。本当に静か、歩くときに出る靴の音が焼けに響いて聞こえる。
麗矢自身が動かなければ聞こえるのは、近くにある海から聞こえる波音と学園の前を時々通る車の音ぐらいである。


カシャと甲高い音を立ててフェンスにもたれる。
腕を組んでそのまま目を瞑っていると不意に隣に気配を感じた。


「…………?」


不思議に思って目を開けると目の前に束の顔があった。
少しばかり驚きながら体をフェンスから離す。
束はいつも通りのヘラヘラっとした笑みを浮かべている。この表情が崩れたことはそんなにない。


「やっほーれーくん。はい、返すよ」


麗矢は束からブレスレットを受け取る。
いつもよりもやけにあっさりとした束に違和感を感じた。
思わず首を傾げてしまうくらいに。


「束さんはもう満足なのです。すごいね、れーくんのISは私が望んだこと以上のことをしてくれている。もう単一能力《ワンオフアビリティー》が使えるからね。いつかそのデータも取らせてね」
「……ありがとう」
「いやあ、別に感謝されるようなことはしてないよ。れーくんに頼まれたことがうれしかったからね」


束はやけに大人しかった。
麗矢の前だと束はまるで恋する乙女のように。
頬を赤らめ、恥ずかしそうにしながらも麗矢と話す。
稀代の天才も一人の女性だったのだ。


「じゃあね、れーくん。私はもう行くよ」
「……またお願いできるか?」
「もっちろん!!」


そう言って束は消えた。
すぐに麗矢も屋上を後にする。
麗矢の左手首にはブレスレットが光り輝いていた。


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