第二十五話
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げるための手段は、皆さんは良く慣れ親しんだ方法です」
この瞬間、芝山が推理していたモーションキャプチャーの目は無くなった。一昔前にモーションキャプチャーを利用したゲーム機が一時期主流になったが、全身を使っての操作方法は長時間プレイには向かず、その後開発されたVR機器の技術を応用したゲーム機に取って代わられており、慣れ親しむという程では無かった。
では自分達の私生活に関する正確な情報は幾らなんでももって無いはずと思った芝山は、ここに集まった人間のはっきりとした共通点を考える。
「まさか、ダイブギア?」
芝山よりも先に気付いた山田が答える。
「先程もそうでしたが、良い所に目をつけますね……しかし、答えはもう一歩踏み込んだところにあります」
ここまで導かれたなら参加者の多くが答えにたどり着く、しかしそれを答えと口にするのは躊躇われる。あまりにも荒唐無稽過ぎる。
山田が「まさか」を先に口にしたように、芝山たち参加者全員にとってまさかだった。
「皆さま、信じられないと言った様子ですが、ですがそれが答えです……つまり擬体への同調です」
答えを発表したエルシャンは、参加者の反応に満足気に笑みを浮かべた。
「嘘だ!」
ありえないと感じた事をそのまま口にされて怒り出す参加者もいた。ペテンにかけられていると感じたのだろう。
「嘘を吐く意味がありません」
「証拠を見せろ」
「当然です。この身体が擬体である事をお見せします」
エルシャンはスーツの上着を脱いで演壇の上に置く、そしてネクタイを外してワイシャツのボタンを上から外して脱いで上半身をはだける。
「う、嘘だ……」
ワイシャツの下から現れた強化合成樹脂性のボディーの地肌が照明の明かりを滑りと反射する。それだけならばCGに置き換わられる前の古い映画の特殊効果でも再現可能だったが、胸部と肩、胸部と腹部と各部位が完全に分離していて、黒い金属製の骨格によって繋がっているだけであり、各部位と骨格の隙間から背後のディスプレイの映像の光が覗いていた。
「これが皆さま方が、慣れ親しんだヒューマノイド型汎用擬体の姿です。擬体の各パーツを独立させて、その間の距離を調節する事で身長150cmほどから240cmまでの体格に対応する事が出来ます」
そう話している間にも、各パーツをつなぐ骨格が伸長して擬体は身長は200mを大きく超えた。
一見して人間と見間違うような表情を作るロボットは存在する。人間以上の動きをするロボットアームも存在する。人間以上の速さで走り、人間以上の高さにジャンプできるロボットも存在する。だがそれらの全ての機能を人間サイズのロボットの中に納める技術は世界中の何処を探しても存在しない。
それどころか、それらの機能を全て備えたとしても、一見して人間と見間違える表情を作れ
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