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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 死者(四者)は何を夢想するのか
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った。

「だから私と契約して。業の深い裏側の住人よ。私は貴方を愛してその側で生きていたいの」

《……驚いた。契約者と見抜いて自分から契約を成そうとした人間は君が初めてだよ。いいだろうその愛に答える事など今は無いが君と契約するのは面白そうだ。役割を完全に果たせたならば君を愛してもいいかもしれない》

牢獄に囚われし一人の女は消えた。その世界に何の足跡も残すことなく。


【ティトゥス】

トーゥレ協会は少年を使ったオカルトめいた私兵を造る事を望んでいたらしい。らしいというのは俺自身がその私兵の一人であり数少ない傑作で失敗作だったからさ。
少年兵。現代ではさほど珍しくも無いその戦争体系。だけど、一次大戦や二次大戦においてそんなものは存在していない。まあ公式的には、ってことになるんだけど。勿論、当時から少年下士官というものは存在している。
だがそれは幼い年齢の人間に次代の戦力としての政治的なものだったり、一種のプロパガンダだったりしたものであり直接戦場に立たせるためのモノではない。そんな中で僅かながらの人間が少年兵の有用性を考慮して作り出されたのが俺達だった。
幼い人間に戦闘に於ける英才教育という名の人体実験を行うことで優秀な兵器を造り出すという考えによって生まれた部隊。
尤もドイツは元々人口が少ないということもあって(レーベンスボルンなどは人口を増やす為に作られた組織の最たる例である)少年兵などというのはうまくいくことはないと見切られていたんだけど。
結果的には少数の例外である俺を含む幾人かを除いて、ほぼ総てが大した戦力になりはしなかった。その数人もトゥーレ協会が解体すると共に処分されたり、次の実験施設へ連れて行かれたり、戦場に放逐されたり、教会に預けられたりした。尤も一番ましそうであった教会に預けられたものもドイツ人神父のオカルトの真似事で生贄に使われたらしいけど。
そんな中でまあ俺は次の実験施設に連れて行かれた人間だった。訳の分からない薬の投薬、負荷の差異を比べるための拷問、自然治癒の経過を見るだけの為に負わされた怪我、まあ色々とやらされた訳だけど、それなりに優秀だったお陰で同期やいつの間にか変わっていた先輩、後輩のように処分だけは免れてたんだ。あ、ここでいう処分は明らかに致死にいたるであろう実験のことだよ。

「私はお前の事を高く買ってるんだぞ■■■■。その反射神経、筋肉や骨格の理想的な付き方、神経系の精密さ。特に反射速度は0.1秒を切る。それは視界に写っているなら銃弾すら躱せるということじゃないか。流石はありとあらゆる技術を費やした傑作だけの事はある。何故これを上は失敗作と断ずるのだ?私の理論は間違っていないというのに」

目の前でブツブツと一人呟いているのは俺をこういう風にした奴だ。別に恨んだりしてはいない
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