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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 死者(四者)は何を夢想するのか
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部隊は俺とそう長い付き合いがあったわけでもない。
危険な状況になれば最も短い交友関係であった俺を見捨てるのはある意味当然だろう。そういったことは何度もあった。俺を利用して、あわよくば目障りだった俺が死ねばいいとそう思っていたのだろう。そう、何度もあった。そのはずなのに……

「なんでこんなことで俺は……」

涙をいつの間にか流していた。胸の内が針に刺されるような痛みを感じた。何故、何故こうも苦しみを味わう。今までと変わらない出来事だったはずなのに。此れならば、こんな事になるならば、いっそ……


「出会いなど無ければよかった」《出会いなど無ければよかった、かね?》


突如、俺が呟いた言葉と全く同じ言葉が同時に何も無いところで聴こえた。

「―――なッ!?」

《実に興味深い。そして人間らしい。これまでに感情を得なかった。故に相反するようにより大きな感情を持つ。君は最も人らしく生きているよ》

「巫山戯るな!俺はあんな奴等とは違う!!」

人間らしい、だと。いうに事欠いてそれか!俺はあんな他人を見捨てるような奴でもなければ非道を行う下郎でもない!

《その通り。君は誰よりも孤高だ。気高さとそれに見合う誇りを持っている。故に人間らしいんだよ。人は弱い。それを否と断じる為に他者より優れることを望みより高みへと向かう。それを良しとするのが人間の本質だ》

「孤高…誇り……」

《そう、君は生まれながらにして上に立つことを望む人間だ。それは非常に人間らしいことだ。だからこそ望むならば答えよう。契約を結ばないか?その身を昇華させ君は更なる高みに至ることとなる》

そうして俺は死に、カリグラという名を渡され、アルフレートの兵士となった。だが、それは同時に枷でもあった。その高みには上がいる。アルフレートが存在する。だから俺は奪うのだ。奴の地位も力も総てを奪い、更なる高みへと至り、孤高を得る。
そうすれば、もう誰も誰一人として信用する必要はない。たった一人で生きていけるのだと。俺はそう確信している。


【パシアス】

―――私はあの時から彼に永遠にこの魂を縛られることを、愛されることを望んだ。

私が運命によって彼と出会ったのは牢の中でだった。日々を惰性で過ごすことを良しとしなかった私は刺激的な日々を送りたいと感じていた。求めていた非日常。だから私はその娼館で力と情報を集めた。
妹や娘ぐらいの年の後輩の娼婦の世話をして私の元に就かせる。そして、その娘の相手した男性から得た情報を私が集める。勿論、嘘を吐かない様に躾を施して小遣いを与えてやる。
欲しいのは刺激的な日々であって金銭が目的ではないのだから惜しくも無い。そうして得た情報は個々では役に立たなくとも整理すれば様々なものになる。そうしてお得意様相手
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