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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 死者(四者)は何を夢想するのか
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ラバラに行動することになるのが殆どだからだ。俺自身別に個人で行動して困ったことは殆ど無かった。
「だからって、こうなることも予測しろってことかよ……」
いや、本当に人間っていうのは屑ばっからしい。まさか気に入らないとかいう理由だけで後ろから味方によって撃たれる事になるとは思わなかった。
事故を装ったものであったとしても味方を撃ち殺したとなれば軍事裁判ものだ。しかも奴等にとっては都合の悪いことに俺はそれなりに戦果を上げていたから余計にそういったことで俺が死ねば問題になる筈である。
だからこそ、その程度の計算は頭に入っているはずだと思った。だが最大の誤算は後ろから俺を撃った人間は頭の良い遠くを見据える視野を持った人間ではなく、頭の悪い短絡的な思考しか持たないチンピラ風情の馬鹿だったということだった。
「クソが、本当に人間ってのは屑だな」
運良く当たりはしなかった。だが一発の凶弾は戦線をあっという間に崩壊させた。考えてみて欲しい。緊迫した戦場の中で互いに撃ち合う距離に入ってもいない状態で突然、味方が味方を撃ち殺そうとするのだ。
周りはパニックになり、その隙を敵は見逃すはずも無い。結果、味方は死んだ。逃げた奴も当然居るがこの状況じゃ立て直すなんてことはできないだろう。逃げた奴等はそのまま戦線を切り捨てて撤退すると予想できた。
「た、たすけて……」
止む得ないので俺も撤退していると負傷して動けずにいる何人かの味方が助けを求めてきた。正直、俺は迷った。
こいつらは俺に絡んだりしたわけではないが、助けようともせず無視していた輩だ。周りに居たような屑と同類。だが俺が此処で見捨てれば俺もまた屑と同じになるんじゃないか。そう思った。だからこそ結果的に助けてやった。
******
暫くたって助けた相手に礼を言われたりした。一緒に酒盛りに行ったり、賭け事をして遊んだりもした。悪くないものだと思ったりもしたが同時にこれまでの空虚さも沁みてきた。悪い気はしない。しかし、良い気分かと言われると分からなかった。俺は生まれたときからずっと好意というものを受けたことが無かったからだ。
父はおらず、母は俺を見向きもせず、伯父はむしろ嫌っており、娼婦は打算か同情の視線で俺を見る。軍に所属してもその評価は変わらない。大概が
歓楽街
(
そういうところ
)
の出だと分かると避けるか絡んでくるかの二択だ。だから結果的にそれでも生きてこれた俺は好意というものを要らないものだと感じていた。
だがそれでも俺はその感情を好感的な何かだと理解して、暫く経ってから、初めてそれが喜びというものだったということを知った。
******
裏切られた。大したことじゃない。先日助けた相手と同じ部隊として行動し、危険な状況に陥った際に見捨てられた、それだけだ。その
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